後日談

『誰も私の事なんか相手にしないって言ったくせにね。』

お洒落なレストランで美味しいご飯を食べて、イルカショーやたくさんの展示を見終わって水族館を出る頃には、気が付けば私達はクラスメイトから恋人になっていて、二人で手を繋いで歩いていた。

「うるせー。俺以外にガサツでズボラな苗字の相手出来るやつなんていねえだろ。」

ぶっきらぼうに言うけれど、ちょっと照れてる様子が伝わってくる。相変わらず口は悪いけど、今までみたいな胸の痛みはもうない。

『ちょっと、なんか一個増えてるんですけど。』
「気のせいだろ。」
『お前みたいなガサツ女がイケメンとデート出来る訳ないって言ってたのはどこのどいつだか。』

やれやれ、とため息をつくけれど、そう思ってたのは私も同じ。まさか二口と付き合うことになるなんてなあ、とどこか他人事のように二口の横顔を見ながら呟く。すると二口は目敏く私の失言に気付き、追い討ちをかけてきた。

「へー、ついに俺の事イケメンって認めたんだ?」
『・・・え?』
「良かったな、イケメン彼氏とデートが出来て。」

やってしまった、と自分の失言に頭を抱えたくなったけど、ニヤニヤと笑う二口を見たらなんだか別にいっか、って思ってしまった。だって、いつもの、私をいじめる時の顔の割には、少しだらしなく見えるから。なんだ、二口だって嬉しいんじゃん。

『はいはい、イケメン彼氏とデートが出来て私は嬉しいでーす。』
「棒読みすぎんだろ。もっと気持ちを込めろ気持ちを。」

なかなか素直になれない私達だけど、ちょっとした事でお互いの気持ちが分かり合えそうな気がした。無理せずお互いのペースで、少しずつ素直になっていけたら、それでいいよね。