◎今日はおふろの日なんだって。サボさんが教えてくれた。

「やあ、よんだ?」とお手本のようにニッコリ笑ったオフロスキーがやってきたから、わたしは「よんでないよ」といたずらっぽく笑う。やだなあ、お魚ちゃんったら。呼ばれてもないのに来るのが僕だよ〜、と楽しそうに歩きながら、わたしのところまできた。

「さあ。お風呂の時間だよ」



あたたかいお湯がふってくる。もうすこし熱いくらいがすきなのだとオフロスキーに伝えたら、さいしょはカラダがびっくりしちゃうからこのくらいでいいんだよ、と教えてもらった。ヒートショックっていうんだって。オフロスキーは物知りだなあ、とカンシンする。


シャワーをあびて、それからお湯がたっぷり入ったおふろに入る。ちゃぷちゃぷ音がする。わたしはこの音が大すきだ。
はだかんぼうなのは、わたしだけで、ちょっぴりはずかしい気もしたけど、オフロスキーだから別にいいや。

オフロスキーはかわいいピンク色の服を着たまま、ゆぶねの外でひざを立ててわたしを見ている。

「今日はねえ、特別なお風呂にしようと思います」
「とくべつなおふろ……?」
「うふふ、そうだよ〜。これなーんだ」

オフロスキーは壁のはじっこに置いてあった袋から、まあるい虹色のボールを取り出した。おもわず、きゃあと声をあげてしまう。

「バスボムだ!」
「大正解!はい、ドーゾ」

バスボムを両方の手で持ってお湯の中に沈めると、すぐにシュワシュワって音を立てて、たくさんの小さな泡を出しながら、あっという間にとけていった。すごくたのしい。オフロスキーにお礼を言うと「のぼせないように気を付けてね」と、目の前でフタをあけたペットボトルに入ったお水をくれた。バスボムは見る見るうちにとけて、お湯は真っ青にキラキラとひかっていた。おふろの中はウチュウみたいで、楽しくって、なんども手でかきまぜる。

「お魚ちゃんは本当にお風呂が好きだねえ」
「うん。おふろって気持ちがいいから、大すき」
「そっかあ」



ホントはもっと遊んでいたかったけど、そろそろカラダを洗わなきゃいけないから、おふろから出た。カラダを洗った後で入るとキラキラがまた付いちゃうから、って言われて、おふろのセンを抜いた。わたしはお湯の中のちいさなウチュウとさよならをした。



いつもみたいにオフロスキーが、かみの毛やカラダを洗ってくれる。シャワーがはねて、ときどきオフロスキーの服をぬらした。ちょっとまえに、どうしてオフロスキーは服をぬがないの?と聞いてみたことがあった。そうしたら「僕はこれでいいんだよ」と言った。「だって、お魚ちゃんの前で脱いだら恥ずかしいんだもん」

わたしはふうん、とだけ言って、そうなのかあ、とナットクしてしまった。オフロスキーははずかしがり屋さんなんだなあ、と思った。



オフロスキーはこう見えて、いがいにもテキパキとしているから、すぐに洗いおわって、かみの毛をかわかしてもらった。ぜんしん、ぴかぴかになってサッパリした。オフロスキーの手はわたしのよりも大きかった。わたしはおふろのじかんが大すきだった。


ALICE+