2020.02.19

男が女の胸倉なんて掴まないでよ。その怖い顔の意味は私には分からないし、今なお私の身体には鉄パイプがぶっ刺さってたし、心臓もそろそろ動くのをやめるのだろう。もっと痛いと嘆けばチョコラータは喜んだだろうか「お前を殺していいのは、私だけだ」そんな褒美、やるもんか。随分悔しそうな顔して。

チョコラータ/こたえられない

2019.09.16

たしかに僕はまだ学生だし、仕事のことは分からない。だから口出しはしないようにしてたけど、朝は元気に出ていった彼女が日付を回る時間に漸く、泣き腫らした目で帰ってきた僕の気持ちちょっとは分かってよ。仕事のミスを悔しがる彼女を玄関先で思わず抱きしめたくなったけど、まずは「おかえり」

甘えてよ/桐嶋郁弥

2019.09.11

何をしたら信じてもらえるのだろうか。どんな態度でどう接していれば、彼は丁度よい幸福を得て祝福されるのだろうか。付きっきりの甲斐甲斐しさはやがて依存を飛び越え信仰に変わってしまう。「百、物事には順序がある」悲鳴をあげた手首はこの際どうなってもいい。「私と一緒に、祝福を受けようよ」

疑心暗鬼/尾形

2019.09.11

朝っぱら、凛から密かにハルのベッド下事情を聞いていよいよ私は顔色を悪くする。鯖と水に目がないことは分かっていた、ただそんな本を大事にしているだなんて。「凛、私にハルは手に負えない」「んなことねぇって。水も滴るいい女になれば食いつくだろ」わなわなと震え私は凛に、思わず怒鳴るのだ。

出来るなら苦労はしない/七瀬遙

2019.09.11

負けず嫌いで張り合ってしまうところも、後でくよくよ悔悟するところも、幼馴染のせいですっかり移ってしまった。きっと郁弥は自分に似た私と接する度に苦しい思いをするのだろう。一歩引くことを覚えてしまった私の目に移るのは「なんで僕をもっと苦しませるんだよ」という執拗な郁弥の眼差しだった。

長く一緒にいた影響/桐嶋郁弥

2019.09.11

嫌いな奴は殺すので居ない。好きな奴は一層殺したくなるので居ない。自分の手で、握ったメスで皮膚の感触を味わって愛する人間の臓器を目の当たりにした時はこれ以上にないほどの幸福を覚えた。その映像をみかえすとき、セッコは私の顔色を伺い地中に潜る。悲劇的映像に映る彼女と、2人きりの時間。

未練たらしい/チョコラータ

 return 


ALICE+