何が彼の地雷だったのかは分からないけれど、今オアシスに包まれながら絞首されている事実になんら変わりはない。セッコがフーフーと唸りながら手の力を緩めたり、また力を入れたりしているが、存外私よりもセッコの方が苦しそうだ。何がそんなに苦しいのか、私がチョコラータと仲良くしてたからなのか

人を玉の輿目当てだの対ババア兵器だのと言い放った強気な女が大事なレースでライバルに負けた。からかってやろうと声をかければ涙目で睨み上げられ、罵声が飛んで来ると思いきやか弱い声で胸貸してよとすすり泣いた。このDioが瞠目し、彼女のつむじすら愛おしく思えてしまった瞬間だった。

マスクを取るのが合図だった。それまで同僚として気軽に話しかけ冗談を飛ばし合うそれは、この時間だけは一切出来なくなる。私だけでなく、リーダーであってもそうだ。一度彼がマスクを外し、鍵をかけ忘れた自室に篭った時に室内から聞こえた嗚咽と俺は大丈夫だという震えた声に、私は何も出来なかった

パーティーへの潜入、暗殺司令が出た為ドレス姿でメローネと始末をした帰りだった。駅までの道のりで降られ、肩に雨粒が弾く。寒さで腕をさすればメローネはジャケットを無言で私の肩にかけた。透けてるだの巫山戯ると思いきや、「風邪ひいちゃうから」と一言。その濡れた睫毛と視線なんて知らなかった

虫の知らせというものは稀に当たるらしい。娘が生まれたとか博士号を取得したとか、やり取りをしていたのがつい最近のことのように思えた。「この世界でも、変わらないのね」凶報が届くあたり幾らかましだったか。「アイリン……徐倫を2回も泣かせるなんて、ダメな父親」

「波紋って凄いんですね、朝寝違えた！と思って意識集中したらすぐ治っちゃいました」「だろう。俺が究極生命体でよかったな」「？」「でなければお前は私の敵だ」「まさにDIOさんですね、お二人は少し似てますもんね」「似てない」「そうで「似てないからな」「はい」