お迎え

イケブクロ駅にて。


『ここで待ち合わせですか…?』


「そうですよ」


寂雷先生と手を繋いだまま辺りを見回す


と、寂雷先生は笑顔で肯定する


すると、


『姉ちゃーん!!寂雷さーん!!』


と名前を呼びながらこちらに走ってくる一郎くん。


『あ、一郎くん…』


なんだか申し訳ない気持ちになってくる…


だってこれデジャヴ…


「すみませんね、わざわざ迎えに来てもらって」


「いえいえ…自分ちの…姉ちゃんの…ことですから…」 


行きも絶え絶えである


『…ほ、本当にごめんね』


内心アワアワと慌てヨシヨシと一郎くんの背中を擦る


「…はぁ…はぁ…んぐ、だ、大丈夫だ。んなにか弱くねぇ」


と一郎くんは汗をぬぐった


男らしいのはかっこいいけども、心配である


「はは、大丈夫さみのりくん。一郎くんはそんなにやわではないからね」


と寂雷先生まで笑っているので、私もひとまず落ち着くために息をついた


「さて、みのりくんを送り届けたことだし、私はそろそろいくよ。みのりくん、また何かあったらすぐに連絡するんだよ」


『あ、はい、わかりました。ありがとうございます』


ペコリと頭を下げると、寂雷先生は爽やかな笑顔で去っていった


「…なぁ、姉ちゃん」


『ん?なに?』


『何かあったらって…俺がいない間に、何かあったのか?』


『え?えー…』


…これはなんと答えればいいのだろうか。


考え抜いた末、今日あったこと(寂雷先生との会話以外)を話すことにした


「はぁ!?左馬刻や乱数に会っただあ!?」


『いやね?私が会いに行った訳じゃなくて、向こうが一郎くんに会いに訪ねて来て…』


「いや、わかるんだけどよ…あーくっそっ!」


一郎くんは頭をがしがしとかいている


スマホを取り出すと、操作し


『…なにしてるの?』


「ん?二郎と三郎にメール打ってんだ」


『な、なるほど…』


「…よし」


どうやら送信しおえたらしい。


スマホをしまうと、私に手を差し出した


『え?』


「夕飯の買い出し行くぞ!」


『あ、あぁ、うん』


ドギマギしながら一郎くんの手を取った










お迎え

(これからお買い物)