歓迎会

「…それじゃあ、俺はここで」

『はい、ありがとうございました』

「あざっす」

観音坂さんと別れて、一郎くんと歩く

『そうそう、デパートでらむ…飴村さんのコーディネートの服を見つけちゃってね、少し興奮しちゃった』

と笑うと、よかったっすね 

と一郎くんも笑ってくれた。

「そうそう、今日の夕飯は炒飯だからな」

『え、私が作るんじゃないの?』

「今日は特別だよ。お前の歓迎会」

『わぁ…』

至れり尽くせりだ

『って!そうじゃなくて!お金!ちゃんと働いて返すから!待っててね!』

と私が意気込んで言うと、一郎くんは笑った

「ほんっと、こういうとこ他の女とちげぇよなぁ」

『?何が?』

「他の女は、家庭に入ったら専業主婦で、飯作るから金もらえんのは当たり前、見たいなとこあんのに」

『ええええ…だって、そもそも私たち結婚してないし…結婚しても、私は旦那さんにぶら下がっていきるつもりはないよ。隣にいて、一緒に歩いていくの』

というと、一郎は目を見開いてから、嬉しそうに笑った


「…あんたみたいな人が嫁だったら、幸せなんだろうな」

『なにそれ、プロポーズ?』

「さあな」

『まさかねぇ』

「ほら、ついたぞ」

『はーい』 

私たちは山田家の玄関をくぐった。



すると




パンっパンっ


「おらっ!行くぞ二郎!三郎!」

「「うん!」」

「「「江藤さん!山田家へようこそ!」」」


『…!』

私は思わず涙がこぼれた


「また泣いたな」

一郎くんが涙をハンカチで拭ってくれる

「ほら、おめでたいことなんだ、泣かずに笑え!」

『う、うん…!』






歓迎会

(ようこそ!)