倉持洋一
「よーい、ドン!」
只今体育の授業。
50*走タイムを計測中。
一般の女子は足が遅いからと嫌がるだろうが、
私は恵まれたことに女子の中では速い方に入るので決して嫌ではない。
ただ毎回心配なのはスタート。
私はどうしてもスタートは遅れる。
これにはちょっとした理由があるんだけど、それは後程ってことで…。
要は、私はリレー向きなのだ。
こうやって一斉にスタートするのはどうも向かない。
とりあえず自分の番はもう少し後のようなので友達と男子の方を見る。
やはり野球部に限らず、この学校は部活に力を入れているだけあってみんな普通に速い。
もちろん陸上部の人もいるわけで、そんな人たちがいる中、とりわけ速く周りの目線を集めたのは…
「やっぱ倉持はやー。」
相変わらずのあのよく通る笑い声を響かせながらぶっちぎりの走りを見せた倉持。
正直速すぎて怖い。
不覚にも目を奪われているとドンと衝撃を受ける。見ると私の体操服を引っ張りながら興奮気味に迫ってきた友人の凜。
凜「ねね!倉持君ヤバいね!すっごい足早い!」
「ほんとねー、あれで元ヤンとか怖すぎだよ。
あいつにロックオンされたら誰も逃げれないよねー
おー、こわっ」
凜「…菜穂…後ろ…」
「へ?」
ふり返ると少しお怒り気味の元ヤ…倉持クン。
凜は焦った様子で「わ、私もうすぐだから行くね!」と言ってさっさとこの場を去ってしまった。
置いていかないでください。
倉「よー、永瀬。
何話してたか詳しく教えろ。」
「いやー、倉持速かったねーすごいすごい
んじゃ私もそろそろ行かないと…」
ガシッ
さすがに簡単には逃がしてくれない。
そんなに怒らなくてもいつも言っているネタじゃないか。
そんなに女子に嫌われたくないのか。
いや私も女子だけど…。
「今更心配したって倉持が友達いないのは今に始まったことじゃないじゃーん(笑)」
倉「話見えねぇし、思いっきり失礼だなお前。」
「痛い痛い痛い!倉持!ごめん!!」
思いっきり関節技を決めてくる倉持にさすがにギブアップ。
彼は沢村にやる時と同じ力加減でやってくるから本当に痛い。
倉「今年も体育祭リレー1位狙うんだからよ、
しっかり走ってきやがれ、ヒャハ」
◇青道野球部二大韋駄天◇
凜「うっわ、菜穂もめっちゃ足速っ!」
御「けど最初がなー」
倉「スタートおっせー!!」
「陸部に勝ったんだから許してよ…」