髪型良し、お化粧良し。
「飛雄くん、お待たせ!」
「ん。…………可愛い。」
「うぇっ!?」
「行くぞ。」
朝からエンジン全開な飛雄くんに跳ねる心臓。
そして狼狽えている間に攫われる右手。
今日もうちの彼氏はかっこ良すぎる……!!
◇
「よし、買い物するぞー!」
「おー。」
2人で手を挙げてショッピングモールに乗り込む。
今日のお目当ては、暫く同棲していて足りないと感じた食器の数々や、飛雄くんはあまり見ないが私が見るテレビを新調しようと選びにやって来た。
デートと言うには実用的過ぎるが、それでもワクワクと楽しそうに来てくれた飛雄くんに一安心。
「え!このお皿可愛い…。」
「…そうか?」
「え!!こっちも可愛い!!」
「………?」
唇を突き出して、首を傾げている飛雄くんに笑ってしまう。
飛雄くんはあまりセンスと言うかそういうのは無い。割と適当に生きてる。
「どっちが良いと思う?」
そんな彼をわかってて、少しのイタズラ心で聞いてしまう。
眉間に深く刻まれる皺、そして細められる目。この顔はあんまりかっこよくない。
飛雄くんみたいな端正な顔立ちでもかっこ悪い顔できるんだなぁ、と今度は声を上げて笑ってしまった。
「あははは!!顔!すごい顔!」
「う、うるせぇよ!……こっち。」
綺麗な指先で指したのは、私もそっちが良いと思ってた食器でじゃあこれにしよう!と会計に持って行く。
ここは!!ここは流石に私が!!と生活費全てを出して貰っている身なので引き下がったが、いつの間にか持たれていたお会計と食器の入った袋。
くそう……。なんでこういうとこはスマートなんだ……。
そして何事も無かったように歩き出す飛雄くんにまた、カッコ良いと思ってしまって、うるさくなる心臓。
彼のスペックの高さに慣れるにはまだまだ時間が足りないや。
◇
「テレビも注文したし……帰ろっか?」
「そうだな。」
「夜ご飯、何が良い?」
「カレー。」
「以外で。」
「なんでだよ。」
「つい最近食べたから!他には?」
「………じゃあ、ハンバーグ。」
「いいね!そうしよう!」
割とあっさり決まったカレーの代打。ハンバーグ。材料家にあったかな。
「合い挽き……玉ねぎ……。」
食材を思い出しながら、家までの道を2人で歩く。
この時間、この辺りはあんまり人通りが無く、酷く静かに感じる。
「………あ、パン粉が無いかも、」
だからスーパーに寄ろう。そう続けようと飛雄くんの方を向くと、急に、しかしながら優しく掴まれた顎。
そしてそのまま口付けられた。
「…………………な、なにして…!?」
「したくなった。」
スン、といつものようにかっこ良い顔面を晒してそんな事を言ってのけた飛雄くんに、私の心臓はパンク寸前。
「きゅ、急!!外!!」
「?別に人いないしいいだろ。」
そういう問題じゃない!!と顔を真っ赤にして怒る。しかしあまり納得していない様子の飛雄くんに、
「もし週刊誌とかに撮られちゃったら、」
どうするんだ、と続けようとすると、うるさい。と言う声と共に再度くっついた私達の唇。
「もう!!!!」
「すごい顔、してるぞ。」
パン!!と顔を両手で覆う。恥ずかしいし、飛雄くんの考えてる事がわかんないし。
ただ1つ分かるのは、飛雄くんが私の真っ赤な顔を見て楽しそうにしているという事だけだ。
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