どうしてこうなった。
「はいこれ、ユニフォームとジャージね。」
「あざっす!!……なんか変な感じっすね。」
「え?」
「なんか烏野に戻ったみたいです、苗字さんがマネージャーやってるなんて。」
「あぁ……なるほど。ほらほら早く着てみて、サイズ確認して!」
「う、うす!!」
背も体も大きくなって日本に帰ってきた後輩に、ジャージを渡す。
まさか日向くんがうちのチームに入るとは…………嫌な予感しかしない。
彼がいる事でぐっ、と私の忘れられない人との距離が縮まる気がして心臓が痛くなる。
私と佐久早くんがブラックジャッカルに入団したのは今年の事で、という事は未だ影山くんと会うことは無くて。
それなのに今度仙台でアドラーズとの試合が決まっていて、緊張と目眩で死んでしまいそうだ。
「おい。」
「……あ、佐久早くん。」
「青ざめてるぞ、調子悪いなら帰れ。」
「ううん、違うんだよ……これからの事を想像して頭痛くなってきただけ……。」
佐久早くんには最初一緒にブラックジャッカルへ入ろうと誘われた時、断るために影山くんとの事は話した。
しかしそれでも折れず、ネチネチしつこく誘われて今に至る。私押しに弱過ぎ……?
「……必要以上に関わらなければ、問題無い。」
「え?」
「必要なら俺が引き連れてその場から離れるから、呼べ。」
わかったな、と頭をくしゃくしゃにされて行ってしまった佐久早くん。
少なくとも誘った責任を感じているのだろうか、今日も不器用な優しさに笑みを浮かべた。
◇
なんで。なんで、………………なんで。
久々に会った日向と試合前に話していると、目に入った人。
「……ん?あ、そうそう。お前は知ってるかもしんねぇけど、苗字さんうちのマネージャーやってんだよなぁ!」
おーい!!と声をかけた日向に反応し、こちらを振り返った名前さん。
すると大きく目は見開かれ、見つめ合い、目が離せなくなる。
しかしながら目を逸らして、逃げるようにしてこの場を去った名前さんを反射的に追いかけようとするが、
「………………っ。」
名前さんの元に俺より早く向かっていたのは佐久早さんで、荷物を持っている名前さんに手を差し伸べ、それに対してあの頃と変わらない可愛い笑顔を浮かべた名前さん。
ぎゅ、なんて音じゃ済まされないほどに胸が締め付けられる。
俺がもう見れない顔。
それをいとも簡単に引き出し、連れ添い歩く2人に頭がおかしくなりそうだ。
もう手を伸ばすことすら許されない距離、そして、
「………………。」
こちらを静かに振り返り、なんの表情も浮かべない佐久早さん。
しかしそれは行動の予兆で、再び前を向いたかと思うと名前さんの頭を優しく撫でて、子供扱いしないでよ!!と怒られていた。
何を言ったのか聞こえないが、楽しそうに笑った名前さんに手を伸ばしたくなる。
手を伸ばした所で、眩しさから熱さから焼き殺されるのは俺なのに。