初めて見かけたのは課題をてつだってもらおうと友人であるハーマイオニーを探すために図書室を訪れた時。

人気のない図書室に1人の女の子が座って読書をしていた。

ぱら、ぱら。一定のリズムでページをめくる指先が白く、細く、女性的で思わず友人を探す足が止まる。と思えばその手が動かなくなり、何故だろうとロンは彼女の顔を見る。
その瞳には薄く膜がはられており、口は堪えるように閉じられていた。なぜ泣きそうなんだ、と驚くと同時にとてもその表情が切なげでロンの胸を射抜いた。

「△△」

ロンの脇を通り抜けて彼女のもとへ女の子が近寄る。ロンはハッとして咄嗟に不審がられないように近くの棚へ向き直り本を選ぶフリをした。
3人の距離は近いため抑え目の声も聞こえてくる。

「また本を読んで泣きそうになってるし。レポート一緒にしようって言ったでしょ?」
「ごめん、ごめん。すっかり忘れてたの。行きましょ」


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