可愛らしい女の子が男の子に呼び出され、付き合ってくださいと言われる、いわゆるお呼び出しというもの。それを私は今初体験しているわけなのだけど、さっきのお呼び出しという言葉の説明の前半部分はちょっと間違っていた。

「リリーとどうにかして仲良くなりたいんだ」

なぜならこの目の前にいる私を呼び出した男は私ではない名前をひたすらに連呼しているからだ。

「頼むよキャンベル、協力して欲しい」

こいつは勝手にリリーエバンズをファーストネームで呼び、私ではなく彼女と仲良くなりたいと訴える。
成績は常にトップな反面先生たちを困らすことを喜びとする悪戯仕掛け人のリーダー。そんなみんなの人気者が、私に頼み事をしている。この状況は既に滅多にあることではないので少し面白いけれど、それでも私には見返りが欲しいところだ。

「リーマスルーピン」

ぽつりと、返事の代わりにつぶやく。それだけで彼は察したようだ。


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