「ねえ、僕はどうすればいいかな」
いくらか経ったあと、沈黙を破るように、でも消えそうな声でポッターがつぶやいた。
そこに座っているのはいつもの高慢ちきな、自身たっぷりな顔はどこにもなく、毒気を抜かれたただの恋する男の子だった。
「さっき言ったでしょ。リリーにスネイプを虐めないと約束すること。あと、スニベルスっていうあだ名もよろしくないと思う」
素直に頷くポッターに、なぜ彼の友人たちはこんな普通のことを言ってあげなかったんだ、と歯がゆくなる。
「本当はすごく嫌だけどそうするよ。君に言われてよく、自分の馬鹿さがわかった。ありがとうマリア 」
初めて呼ばれた名前。それは彼の中で私の価値が上がったってことかな。攻撃呪文覚悟で踏み込んで良かったかもしれない。
「いえいえ、ジェームズ。さ、そうと決まったら早く行ってきなよ!リリーの時間割ももちろん暗記してるんでしょ?」
そうちゃかせば彼は立ち上がっていつもの自信たっぷりな顔でにまっとわらった。
「当たり前だよ、じゃあ行ってくる!」
元気になった途端彼は風のように教室を出ていった。世話が焼けると思いながら私は緩む口元と、少しあったかくなった赤い頬を両手で隠してごまかすのだった。
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