どうやら気づかれなかったんだと思う。ホッとする反面、悲しさを覚えた。
それは、何故?
いつからこんな気持ちになっていたんだろう。目の前の男はふたりきりでいる今この時も、なんなら初めからだってリリーという女の子しか見ていない。
昼間手紙を見た時に心底よかったと思ったのはもうこんな彼を見なくていいと思ったから?
やめておけ、と自分の中の自分が叫ぶ。けど、気づいてしまったらもう遅いじゃない。
ジェームズはもうそれきりだんまりになった私のことは放って夢中になって羊皮紙にプランを書き込んでいた。
「私課題があったんだった。そろそろ戻るよ」
「ん?分からないところあるなら手伝おうか?」
そんな無邪気に手を差し伸べないで。
「いや、もうほとんど出来てるから。じゃあ頑張ってね!」
気づいた時にはもう何もかも遅かった。
願わくば、彼と彼女がうまく行きますように。
それからしばらく、わたしはジェームズと会わなくなった。
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