リーマスは徐々に意識がはっきりしてきたのか、顔をぺたぺたとさわり、傷の痛みに顔をしかめる。
「シリ…ブラックは?」
「ヒッポグリフとともに脱走したそうです。スネイプは半狂乱でしたよ」
脱走、という言葉に心底ほっとしたのか、リーマスは大きなため息をひとつ。そして少しの沈黙の後、こちらへ視線を移す。
「薬も飲まずに出歩いて、自業自得だと、思うかい」
そうだろう。しかし、すぐうなずくことなんてできなかった。あまりにリーマスが泣きそうな顔をしていたからだ。
生徒たちを守るどころか、一歩間違えれば傷つけて、殺していたかもしれない。噛んでいたかもしれない。
その事実に、傷ついて、後悔している。
今度こそ、自分の意志で彼の頭をなでる。突然のことに彼は少し、体をこわばらせた。
さらさらの鳶色の髪に、ところどころ白髪がまじっている。
「…そうですね、でも、あなたが無事でよかった」
思ってもいなかった返事だったのか、リーマスは目を見開き、そして静かに、ありがとう、と口にした。
もくじへ