夜明けの病室



「大きな声で話さないように」
「ありがとうございます」

病人を起こさないよう私へ注意をしたマダムは仮眠室へと戻っていった。それを見届けた後、意を決してカーテンに手をかけ、中に滑り込む。

「リーマス…」

ベッドに眠る彼の寝顔はおだやかで、すっかり元の人間の姿に戻っている。
ただ、森の中で自身でつけたのか、それともつけられたのかはわからないが痛々しい切り傷や打撲が首元、腕、顔にある。服の下にはおそらくもっとあるのだろう。

この魔法界では人狼になってしまったが最後、社会的地位はない。
今まで彼はずっとひとりで、毎回この肉体的、精神的苦痛を、孤独を、感じてきたのだろうか。

「ん…、ミア‥?」

そう考えていると、勝手に手が彼の頬に伸びていた。
冷え切った手先が当たったために固く閉じていたまぶたが上がった。起こしてしまった。
「ご、ごめんなさい」

驚きと羞恥とでとっさに手を引っ込めると、彼は残念そうな表情を浮かべた、ような気がした。
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