日常



「ごめんねミア、これは屋敷しもべたちに頼んでた糖蜜パイなんだ。僕がこれから食べるから君にはあげられないや」
「私、そんなに欲しそうな顔してました?」

女としてどうなのかと恥ずかしくて、その上そういう事じゃないのにという不満も少しあってダメ押しで聞くと、彼はゆるりと笑う。

「さあ?そんなことより、喋り足りないしまた空いた時間にお茶でもしよう」

聞いたことははぐらかしつつ、何気なく、さらりとお茶の誘いをしてきた彼は私の返事を待つことなく大事そうに糖蜜パイの入った箱を抱えながら厨房を出ていった。
もしかして残念そうな顔をしていたのはパイが美味しそうだからではなく、リーマスと話す時間が終わってしまったからだということに気づいていたのだろうか。

「先輩ってもしかして、たらし...」

ドキドキ脈打つ胸を抑えながらはしたなくも椅子の上で膝をかかえてすわっていると、しばらくして遠くでお待たせいたしました!パーヴィス先生!とキーキー声が聞こえた気がした。
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