「フィニート・インカターテム」
「プライオア・インカンタート!」
年が明けて授業が再開された。
空き時間を見つけては教師陣で呪文をかけ続ける日々…それでもなかなか箒は尻尾を出さないでいた。
「ミネルバ、フィリウス順調?」
どうせ箒に夢中で気づかないだろうが念の為ノックをする。やっぱりなんの反応もなかったのでドアを開ける。
今回の箒検証のために貸し切った元空き教室の中央で相変わらず呪文をかけ続けるふたりがいた。
自分たちの受け持つ授業もあるというのにこちらの方も手を抜かない。ひとまわりもふたまわりも年上のふたりを見て体力がすごいとしみじみと感じる。
「ああ…ミア、いいえ、全く進展なしです」
差し入れとして持ってきたギリーウォーターとクッキーを手渡すと、ミネルバはしぶい表情を崩さず、そのままギリーウォーター片手にすぐさまクッキーを食べ始めた。
フィリウスに至ってはゼエハア肩で息をしている。
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