ふたたび



グリフィンドールが勝ったその夜。いい気持ちで眠っていると突然わたしを呼ぶ声が聞こえた。

「ミア、ミア!起きなさい」

誰だ、お母さん?いや数年前に亡くなってしまったからそれはない。でもこの年にもなって起こされるなんて、もしや夢だろうか。聞こえないふりをして掛ふとんを頭までかぶるが、なかなか声の主は諦めてくれない。ドンドンドアを叩く音までしてきたのでしかたなく薄目を開けた。
いつものようにまぶしい陽の光は入ってこない。なぜ、と徐々に覚醒してきた頭を起こし時計を見るとまだ深夜だった。

「ミア…」

ドア越しにハア、とため息をひとつつき、呼びかけることに疲れているこの声は母などではない。ミネルバだと今更気づく。

「ごめんなさい、いま、いま起きたよ」

慌ててドアを開けるとやはりミネルバだった。腕を組み、こちらをぎろりと睨む。何か私はしてしまったのだろうか。ごくりとつばを飲み込むと彼女が口を開く。
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