わたしはジェームズさんが好き。入学した時に頭を撫でてくれたあの時からずっと。たとえ、エバンズさんのことが好きでも。

「ジェームズさん。わたしにしませんか?」

遠くの方にはエバンズさんとスネイプさんが楽しそうに笑いあって歩いている姿が見えた。
ふたりが付き合い始めたというのは本当のことだったんだ。
呆然とふたりを見て立ち尽くすジェームズさんは見ていられたものじゃなかった。いや、ほんとはそうじゃない、今しかないと思った。

「ジェームズさん、」

声が届いてなかったようで、もういちど発すると、ゆるりと彼は振り返った。
その瞳はいつものようにキラキラ光り輝いてはいなくて、何も見えていない。そんな瞳だった。

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