体が鉛のように重い。ここは、どこだ。
目を開けると真っ暗闇で、光なんてものはなく。自分を確認しようとしても何も見えない。

そもそも、眼球以外を動かすことができなかった。
諦めて目を閉じ、真っ暗な謎の空間の中でどうしてこうなったのか、考える。
そうだ、ジェームズさんが杖を出そうとしていたからとっさに私の方へ向けたんだった。
そう、先程のことを思い出したときベル、と切羽詰まった最後の彼の声が頭に響いた。

今自分がおそらく夢の中にいるということはなんらかの呪文を浴びてしまって意識が混濁しているからだ。
意味のわからない現象の中にいるからか、不思議と冷静に分析することができた。となると目の前で起こったことに対してジェームズさんが心配しているに違いない。いや、心配していてほしい。

少しは私のことを見てほしいという欲。忘れていたはずなのに…、目を閉じているからか眠気がやってきて、すう、と眠りに落ちた。

眠る


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