「大丈夫?」

次に目覚めたとき、天井が一面真っ白なのが見え、次に鼻につく薬の匂いがした。
医務室だということ、現実だということが瞬時に理解できた。起き上がろうとして身体に鋭い痛みが走り、ベッドに逆戻りする。

「だめじゃない。無理に起きないで」

先程から声をかけてくれるこの人は誰なのだ。
首だけ声のする方へ向けると、そこには見知った顔があった。

「エバンズさん…」

エバンズさんは私の呼ぶ声には見向きもせず、起き上がったときに多少乱れた掛け布団を直して慌ててカーテンを開けてどこかへ行ってしまった。
マダム、という声がかすかに聞こえたのでマダムポンフリーを呼んでくれたのだろう。しばらく大人しくじっとしているとマダムがやってきて、緑色の気持ち悪い液体の入ったコップを口元に持ってきた。
匂いも、色も、何一つ良いところがなさそうなので口を閉じる。マダムがきゅっと眉を上げた。

眠る


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