なんてことをしてしまったんだろう。その日は何も手につかず、かといってベッドに入っても眠ることが出来なかった。

ふとんを頭までかぶってきつく目を閉じる。目を閉じても浮かぶのはあの時のびっくりしたジェームズさんの顔。そりゃあ、驚いただろう。今までそういう雰囲気になりかけた時、私の方から拒絶していたのだから。

なけなしの意地でこれまでは拒否してきた。身体への扱いまでエバンズさんの代わりは嫌だと。
でも、衝動的に動いてしまった。その場には私たちしかいなかったのに。それでも彼の目の奥には彼女がいると感じたのだ。ばかみたいだ。

そんなの初めからだったのに。
人間とは欲深い生き物なのだ。
少しでは物足りなくなって、もっともっとと求めてしまう。
すれすれのところで我慢していた感情が溢れ出して止まらなくなって、気づいたら動いていた。

葛藤する


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