頭ではこうして冷静に考えているが身体は固まっている私はなにもできず、ただシリウスさんの手から伝わるあたたかさをのんきに感じていた。
「俺、ベルが好きなんだよ」
ここまでの流れからわかりきっていたけれど極めつけに言われた確かな言葉に、何も返すことができず、代わりにゆるくシリウスさんの身体を押した。驚くほどシリウスさんの身体は簡単に離れた。けれど相変わらず彼の表情はここに来たときと同じく苦しげなままだった。瞳は、すこし潤んでいるような気がして場違いだけどとてもきれいに感じてしまった。
「返事、ゆっくり考えて」
それだけ言うとシリウスさんはベンチから腰を上げて、おそらく寮へ戻っていった。あとには熱っぽい空気と、私だけが残された。