天気のいい放課後なだけあって、中庭は生徒たちがまばらにいた。女の子同士で顔を突き合わせて内緒話をしている人たち、クィディッチ談義で盛り上がる人たち。賑やかな場所からできるだけ遠ざかるように隅っこのベンチへ腰掛ける。ため息をひとつ、吐く。

どうしてうまくいかないのだろう。私がシリウスさんを好きになれたら。エバンズさんがジェームズさんを好きになれたら、うまく、いくのに。けれどそれは傷つく人が私やシリウスさんからスネイプさんへ変わるだけ。結局、みんなが幸せになんてできっこないのだ。
ひとりで悶々と考えこんでいるといつの間にか日は傾き始め、まばらにいた他の生徒達もいなくなっていた。長い間座っていたのでぐぐ、っと腕や背中を伸ばす。私もそろそろ談話室へ戻って、友人と夕食に向かおう。待っててくれているだろうか。立ち上がって城の中へ戻ろうとすると、立ちふさがるようにそこにジェームズさんがいた。

「ジェームズさん、どうか、したんですか」

ここには私以外誰もいないし、彼も誰かを連れているわけではないからきっと私に用事があったんだろう。だけど聞いておきたかった。ジェームズさんの表情が、暗かったからだ。

「ベル」

私の名前を呼ぶ声は、いくらか視線を迷わせたあと、やがて私をまっすぐ見た。

「別れてくれ」

時間が止まったような気がした。

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