ひたすらに走った。こんなに走ったのはいつぶりだろう。
変身術の教室から呪文学の教室ってここまで離れていただろうか。夕方でほとんどの生徒が授業終わりなのもあり、廊下には人でいっぱいだ。
すみません、そう言いながら人をかき分けて必死に進む。

会ったところで今更なんて話しかけたらいいんだろう。

ようやく教室前についたとき、その考えがよぎった。ここまで来て怖気づくなんて。
あれだけ来るときには人がいたというのに呪文学の教室前は人がいなかった。
せっかく来たのだから顔だけでもみよう、と廊下側の窓から教室を覗いた。
先程のシリウスさんと同じくジェームズさんは魔法を使わずに掃除をしていた。後ろ姿しかこちらからは見えなかったが、四方八方にはねた黒髪と、何度も見た背中ですぐ彼だとわかった。

ぶつける


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