久しぶりに近くで見たジェームズさん。喜びと、寂しさで胸が締め付けられる。
話したい。そう思っていたら、気づけば扉に手をかけていた。

「あの」

黙々と掃除をしていたんだろう。突然の私の声でジェームズさんは大きく体を揺らした。
そのせいで持っていた箒が手を離れ、乾いた音を立てて地面に落ちた。
ゆっくりと彼は箒を拾う。まだジェームズさんはこちらを見ない。静かに床を掃くだけだ。

「ごめんなさい。また、声をかけちゃって。シリウスさんにここを聞いて…」
「シリウス…」

背を向けたまま、しかしシリウスという単語には反応をする。
顔色が見えないおかげでいつもより話しやすかった。
出て行けと言われないことをいいことに教室に完全に入り、扉を締めた。

ぶつける


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