「ごめん、ベル」
私達以外には誰もいない教室で椅子を一個分離して座る。廊下にも人がいないせいで声もよく響いた。
噛みしめるように言うジェームズさんに、予想していた答えとはいえ言葉が突き刺さる。
夕方だからか、教室内がオレンジ色に染まっていてより一層物悲しかった。
「あ、いや。これはさっきの振ってくださいの答えじゃなくて」
「私への気遣いとかはもういいんですよ」
膝の上で作っていたこぶしをきつく握りしめる。しっかりと笑いかけれていただろうか。
それはわからないけれどジェームズさんは言いかけていたのを中断して、いくらか迷ったあとまた口を開いた。
「僕、気づいたんだよ。ベルにリリーを重ねていたことがどれだけひどいことだったか」
思わず伏せていた顔を上げて顔を見つめる。私の目をしっかりと見ていうジェームズさんは、最初に私が告白したときの光のない瞳じゃなかった。私が好きな、エバンズさんを愛していたときの彼の目だった。
そっか。ジェームズさんの気持ちに私が入り込む余地なんてはじめからなかったんだ。