しかし、そんな私の考えとは裏腹にはっきりと、彼は首を横に振った。

「僕は、とっくにベルのことが好きになってたんだ」

すき。すきって。驚きのあまりに声がでなくて、ひゅっと息だけが吐き出された。
そんな私を見ながら、言葉を選びつつゆっくりジェームズさんは続ける。

「確かに最初はリリーとベルを重ねていた。けど、そんな僕をお構いなしに守ったり、慰めたり、包んでくれる君を…いつからか、君だけのことを見ていたんだ」
「そんな、でも、エバンズさんのときと同じ目でしたよ。想っている目で」
「そりゃあ、そうさ。今は君を好きなのだから」

絡まり合っていた糸が少しずつ、解けていく感覚がした。

申し訳程度に開いていた距離はなくなっていて、目の前にジェームズさんの制服が見えた。
壊れ物を扱うように彼の手が私へ触れる。誰かの代わりじゃなくて、私のために。ほんとうなんだ。おずおずとジェームズさんの背中に手を伸ばす。

「私も、好きです。ずっと、ずっとです」
「うん。今度こそ、君だけを見るよ」

こうしてまた、私はジェームズさんと付き合うことになった。

fin.

ほどける


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