「それで、あの日シリウスにそのことを言って、喧嘩になった。ベルの気持ちを軽く考えすぎだって、今更かよって言われたよ」

そのとおりだよとジェームズさんは目を伏せる。
よく見ればシリウスさんと同じくジェームズさんの顔や腕にも細かな切り傷があった。腕にも大きなガーゼがついていて、思わずなぞってしまった。
少しだけジェームズさんは痛そうに顔をしかめた。慌てて手を離す。

「ご、ごめんなさい。つい前みたいに」
「いや、大丈夫だよ。心配してくれてるってわかってるから」

そういって、いつぶりだろう?私に笑いかけた。
くしゃりとした笑顔は私が大好きなジェームズさんの表情。

「なんで、そこまで私に優しいんですか。憐れみ、ですか?」

でも、私はすすんでその道を選んでいたのだからジェームズさんは悪いことはなにもない。
彼が私に申し訳なく思っているのなら、それを断ち切らなくちゃいけないんだ。
だからこそ、ついに核心を突く質問を投げかけた。

ほどける


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