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同日夜。
任務後の検査を終えたチルドレンはそのまま帰宅。皆本は昼間の少女について調べるべく、バベルに戻り書類やデータと睨めっこをしていた。
「データベース上は超度3…?」
結城瀬名は戸籍上 超度3のエスパーとして登録されていた。
だが今日の検査では、何かのエラーなのか瞬間的に出ただけなのか、数値では超度7を指している。
(リミッターで強制的に抑えている?いやそれでも4段階も抑えるのは負担が…それに―――)
今までバベルが接触した形跡はない。住所は首都圏を定期的に転々としているらしく、今は都内にいるようだ。
一度接触してみるのも手だが、賢木からの話を聞く限りはかなり警戒している様子。
(普通人の僕らよりかは、もしかしたら…)
「皆本いるか!」
「賢木!どうしたんだそんなに急いで」
分析室に入ってきた賢木は、急いでやってきたのか少し息が乱れている。
手にはタブレット端末を抱えており、皆本の隣に腰掛け一緒に画面を見た。
そこには防犯カメラの映像らしき動画が映し出されていた。時刻は表示からして2時間ほど前だろうか。
巨大なECMを上から俯瞰するように設置された防犯カメラには、サングラスをかけた普通の人々が映る。
「これってまさか…」
「あぁ、さっきニュースでやってたろ。解体中の現場で爆発があったってな…そこの監視カメラの映像だ。」
「何故こんなものを?」
「ここには兵部が映ってる。その関係で管理官に回ってきたんだ。」
再生バーをスライドさせていくと、兵部の姿がはっきりと映る。白髪に学ラン、目の敵にしていなくとも目立つ男だ。
「それと…この女の子、昼間の…」
「結城瀬名なのか?」
「外見の特徴は一致する。兵部となんの関係があるかわからない…それに」
おそらく爆発が起きた後だろうか。映像は砂嵐に包まれ途切れてしまった。
「具体的に何があったかは調べるまではわからない。ただ、もしかしたらパンドラに関わりがあるかもしれねえから、気をつけないとな」
「あぁ、そうだな…」
もしパンドラのエスパーならば、今までバベルと接触がなかったことにも頷ける。
ただ、のこのこと一般の病院へ通院するものだろうか。
パンドラほどの組織なら検査機器だって自分たちで備えているはずだ。
(これだけの情報では何も分からない…様子を見つつ、必要があれば接触しよう)
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