初々しくも


月曜日


連休は終わり、夏に向けて少しばかりより暖かくなってきた中、連休明けの懐かしい通学路を歩く学生がたくさんいた。


「おはよう、海理」
「おはよう基山く…ヒロト!」


その中、初々しくも顔をほんのりと赤らめながら挨拶を交わし名前を呼び合う二人がいた。

先日、晴れて付き合う事になった基山ヒロトと保科海理だ。


「なんかまだ実感ないなあ」


ヒロトとはずっと仲良かったし、
そういう海理は照れ臭そうに笑うと、「いこっか!」と先に歩きだした。


「待って海理、」


二歩目を歩いただろうか、すぐにヒロトが海理の腕を掴んだ。海理は立ち止まるとヒロトを見つめる。


「こうしたいんだ、」


海理の腕をすべりヒロトの手は海理の手を優しく握った。


「いこうか」
「う、うんっ」


心臓の音が手から伝わってしまいそうで、お互いにとても緊張していた。



***



「お、おお…?」


そのまま手を繋ぎながら登校したせいもあるのか、周りからたくさんの視線が注がれていた。それは教室に着く頃にはもっと増していて、恥ずかしさのあまりに熱を出してしまいそうな海理にヒロトは何度も優しく微笑みかけていた。


「おっはよう基山!」
「やあ緑川」
「すっごいなー君達、学校の人気者だよ」
「そ、そんな事は、ないよ!」


恥ずかしかった…と両手で顔を隠す海理。あまり目立ちたがらない海理がこんなにたくさんの視線を受けた事はないのだろう。




***




「なんか今日一日疲れちゃったね、」
「うん、まさかこんなに注目されるとは思ってなかったよ」


部活動後の学校に人影は少なく。玄関で靴をはくヒロトを隣で海理は見ながら待っていた。


「この学校って公認カップル少ないから余計に注目されちゃったのかもね」
「それもあるかも」


目を合わせるとつい笑いが込み上げてきてお互いにぷっと笑い出す。

まさか自分たちが、こんな芸能人みたいに注目されるなんて思ってなかったのだから。
最初は慣れない視線の多さに緊張したし怖いとさえ思ったけれども、下校する時にはもう慣れてしまったらしい。


「よし。じゃあかえろっか?」
「うん!
………あのさ、ヒロト、」
「何?」


ゆっくり歩き始めてから海理が言う。足を止める様子じゃなかったので基山も歩き続けた。


「…手、」


ぎこちなく握ってきた海理の手。柔らかいそれがゆっくりと基山の手と絡み、繋がる。


「今朝はヒロトからだったから、…今は私から、ね?」


夕日で顔の赤さはごまかせたかな、なんて思う海理だったが、ばっちり基山には分かっていたようで目を細めてにこりと笑った。



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120224

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