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今日は始業式で、クラス替えがある。とりあえず1年の時のクラスで新しい教室に入り、クラス分けが書いてある紙が配布された。

それを見ながら、自分の名前を探し、友達の名前も探していく。砂木沼たちとはクラスが別れてしまったようだが、親友の緑川と同じクラスだった。
女子はどんな子がいるんだろう、と思いながら女子の名前を見ていくと、とある名前に胸がどきりと脈を打つ。


(海理…も同じクラスか…)


保科海理。
もう一度名前を心の中で復唱すると、自然と口角があがったのが嫌でも分かって、周りにばれてしまわないようすぐに手で口隠してしまう。幸い誰にも見られていなかったようで、すぐに口を結ぶと手を離した。


「基山くん、」


ふと、背後から綺麗なソプラノが聞こえゆっくり振り向くと、そこには海理がいた。今俺がいる場所は教室のドアの近くの席。とりあえず適当に座るように指示されたのでここに座った。


「やぁ、1年ぶりだね」
「そうだね、今回は同じクラスになれて嬉しいよ!」
「俺も」


海理とは小学生の頃から仲がいい。たしか、3年生くらいから。幼なじみと呼ぶには付き合いがあまり長くないけれど。


「そういえば、誰かに用?」
「あ、うん。玲名呼んでもらえるかな?」


玲名、と俺が呼ぶと、クラス分けの用紙を見ていた玲名が視線を紙から俺と海理に向け、微笑むとそのままこちらに来た。


「ヒロト、海理、同じクラスだな」
「うん。去年は私だけ仲間外れみたいで少し寂しかったけど、今年はすごく楽しみ」
「よかった。」
「名前だけじゃ分からないけど、どんなクラスになるか楽しみだね」


キンコンカンコーン

<2年生、3年生の生徒の皆さんにお知らせです。...>


放送が流れ、クラスの話声が半分くらいぴたりと止み、放送が聞こえるくらい静かになる。ふと教卓を見れば1年の時の担任はいなくて、色々作業しているんだろうなと思った。


「基山くん、玲名、先に行ってて。私後から行くから…」
「分かった、じゃあ教室でね」


ガタガタ、と席から立ち移動を始める生徒たちの中で、海理は待機していた教室荷物をとりに行った。俺と玲名はこの教室に荷物をすでに持ってきた為、移動する事はない。新しい席につくと、玲名に話し掛けられた。


「海理が隣みたいだが、いじめるなよ」
「いじめるわけないよ。俺はそんなひどい人に見える?」
「時に、お前は好きな子をいじめたくなる奴だろ?」


玲名の言葉に驚き、目を見開いて玲名を見ると「まさに図星か」と笑われた。なんだよ、と頬を膨らませば、玲名は見守る聖母のような笑顔で言う。


「ヒロトが、海理の事が好きって事くらい分かるよ」


俺の反応を見てまた笑う玲名。そこに海理が来て、何の話をしているのかと聞かれた時には一瞬玲名を見たが、玲名は海理の事だとだけ言った。本人はとくに気にしてないようだし、それ以上追求してこなかったから安心して心の中で胸を撫で下ろした。



(私に秘密にできるはずがないだろ?)
(敵わないな、玲名には)



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clegateau