08 さて。 今の状況を整理しよう。 「あ、これもかわいい〜!」 海理と二人きりになった俺たちは、魚たちを一通りみた後、水族館の中にあるお店にやってきていた。 …ちなみに、途中緑川たちに会うことはなかった。 「悩んじゃうなぁ…」 そして今海理はぬいぐるみコーナーであれを手にとりこれを手にとり悩んでいる。小さい頃からぬいぐるみが大好きな彼女の部屋には、たくさんのぬいぐるみたちがあったと思う。もうずいぶんいってないからわからないけど。 「ねえ基山くん、」 「え、あ、あぁ、」 …不意打ちだった。 海理は二つのぬいぐるみを持っていた。 かわいいイルカのぬいぐるみとペンギンのぬいぐるみだった。どちらも愛くるしい顔だちで、そんなぬいぐるみ二つを見つめ悩む海理はとてもかわいかった。 「どうしようー…」 悩む海理の顔は次第に暗くなっていく。気になった俺はためしに一つぬいぐるみを手にとる。 …ぬいぐるみにしては少し値段が高かった。 「あ、基山くん!?」 海理の手にあったイルカとペンギンをひょいひょいと掴み、レジに向かう。いきなり消えたぬいぐるみ、レジに向かう俺を見てすぐに分かったらしい。 「ちょ、待っ…!」 ちょうどレジに向かう女の子の集団に海理は飲み込まれ(埋もれ)てしまい、俺のいる位置から見えなくなってしまった。 *** 「ごめんね基山くん、買ってもらっちゃって…」 「俺からのプレゼントってことで。だから謝る必要ないよ」 「ありがとう基山くん…!」 顔の前で手を合わせていい、ぬいぐるみがはいった袋を抱きしめて微笑む海理。 俺たちは、緑川たちと別れた地点に戻ってきた。 縦にも横にも、巨大な水槽を目まぐるしく泳ぐ魚たちを、椅子に座り眺める。 「イルカといえば…ショーの時間って何時だったっけ?」 「ん?ああそうだね…」 裾を手でどかし腕にしている時計をみる。 緑川たちと別れたのはたしか2時30分。今3時50分で、約1時間海理と過ごしたことになる。 「たしか、午後のショーは4時だったと思うよ」 「そっかあ、」 (タイムリミットも、4時) 再び時計を見て思った。 緑川と玲名がくれたチャンス。 そっと胸に手をあてると聞こえてしまうんじゃないかっていうくらいうるさく心臓がなっていた。 「…ねえ保科、」 「うん?」 胸に当てた手をにぎりしめて拳をつくる。震えるそれを膝の上に押し付け、俺はこう言い放った。 「ずっと保科が好きだった」 (一瞬世界が止まった気がして) (心臓も止まってしまいそうだ) [mokuji] [しおりを挟む] 【clegateau】 |