07



「おはよう、基山くん」
「おはよう保科」


当日。
基山は緑川に言われ、海理を迎えにきた。せっかくのチャンスは多い方がいいだろ、と緑川にいわれ納得した基山はあっさりと首を縦にふったのだった。

海理はいつも通り髪をおろしていた。5月、季節にあったかわいらしく派手じゃないファッションに思わず見とれてから、基山は歩きだす。


「玲名のところには、緑川くんが迎えにいったんだよね?」
「ああ、それから駅で待ち合わせようって昨日なったんだ。緑川が言ってきたんだよ」
「ふふ…もしかして緑川くんて、玲名のこと好きなのかな?」


だからって私を基山くんに押し付けるのは、ひどいよね緑川くん

海理はサラリとそう言った。
鈍感少女は、誤解もしやすいらしい。
誤解された緑川に基山どんまいと心の中でいい、そのあと少し話していると二人は駅につき、緑川と玲名に合流した。


***


「おおー…!」


水族館に来るのは久しぶりだと言っていた海理ははしゃいでいた。そんな海理の隣に玲名はいる。二人を見つめる緑川は、基山に小声で話しかけた。


「あとで二手に別れようよ」
「朝迎えにいった、あの組み合わせでって事かい?」
「そゆこと。今日こそ告白だよ、基山」


ウインク付きで緑川はそう言うと、「さあ行こう!」と二人にいって受付の列に並びはじめた。











「すごい数…」


受付をすませ中に入るとさっそく通路に水槽はあった。壁をつたい天井も水槽になっていて、上を見上げるとエイが泳いでいる。

さらに進むと、壁に魚の説明が書かれたパネルがはられた、大きめの水槽があった。パネル一つ一つを見ていくと変な名前の魚がいたり、水槽の中でおもしろい動きをする魚がいたり。

その水槽の反対側には、ヒトデや貝類が小さな水槽にいれられ、展示されていた。砂に潜ってしまって姿を表さない生き物がいて、四人が駆け寄って覗いた瞬間ぼわっと砂を巻き上げて出てきたり。


「おもしろいねこれ〜」
「私たちにびっくりしたようだな」
「臆病だなあこいつー」


ガラス越しに指でツンツン叩けば、それにびっくりして後退りして、これまたおもしろかった。








その先に行くと、大きな水槽がある場所についた。
その水槽の中を目まぐるしいスピードで魚たちが泳いでいく。


「ここから、二手に別れよう!」


いきなり言い出した緑川に、基山は「まだ早いだろ」とジェスチャーで訴えるも虚しく。
事情を知ってる玲名は海理の隣から緑川の隣に行き、「じゃあ後で」と足早に去ってしまった。


「やっぱり二人とも好き合ってるみたいだね」


告白のタイミングどうしようかとか、取り残され不安になる基山に海理の鈍感は最大限に発揮された。






(…緑川、これは海理の為であって私はお前の事好きじゃないからな)
(分かってるよー。見事保科騙せたねっ)


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