帰ってくる仲間
「天理ちゃーん、そろそろ起きなさない〜」
「んにゃむぁ…もう食べきれないよママ…」
「こりゃ寝ぼけてるわね…んもう!この大量の荷物をまとめなきゃいけないのよ!」
ここはコメリカのホテルの一室。早速昨日プレゼントでもらった細長い猫の抱き枕を抱えて寝息をたてる天理に、不二子はスキンケアをしながら声をかける。
コメリカと日本のハーフの天理は、コメリカに両親が住んでおり、今回10歳のプレティーンのお祝いに久しぶりに会おうということになった。
将来選べるよう、両方の国籍を持つ天理。さらにバベルの管理官である不二子の付き添いと、天理の両親の尽力もあり、超度7エスパーでありながら海外での滞在を両国に許されているのだ。
そんな中叶った一ヶ月のコメリカでの休暇兼語学留学も昨日を持っておしまい。
今日の便で日本へ戻るのだが、昨晩遅くまで夜更かしをしていた天理はなかなか目覚めそうにない。
「天理ちゃんあのねぇ、予約していた便を逃すと次どれに乗れるか分からないのよ?
あの子たちも楽しみに待ってるんだから、早く起きて準備なさい!」
フェイスパックをしながらタブレットを操作する不二子。
念動力で天理の目の前にタブレットを置き、とある動画が再生される。
「"天理〜!"」
「"天理ちゃ〜ん!"」
それは日本で待っているザ・チルドレンの3人からのビデオレターだった。
聴き慣れた仲間の声に、夢の中の名前の体がぴくりと反応する。
「"天理がいないと寂しいよ〜、早く会いたい!"」
「"たった一ヶ月…と思ってたけど、何年も一緒にいるからちょっと寂しくて…"」
「"お土産たくさん待ってるから、頼むで天理〜!"」
薫、紫穂、葵がそれぞれカメラ越しに天理に話す。
その後は3人が同時に話すため、わちゃわちゃと色々声が混ざって1人ずつの声は聞き取りづらくなった。
だがそれも数秒で終わり、再生が止まってビデオが終わったことをしめす。
すると抱き枕を抱えて寝ていた天理が、目を擦りながらゆっくりと起き上がった。
「んー!」
両腕を上にあげ、体を伸ばしながら続ける。
「はあ、よく寝た!しかし夜更かしは生活リズムが崩れてよくないなぁ…」
祐崎 天理。
超度7の精神感応能力者(テレパス)
超度6〜7で、念動力・瞬間移動・接触感応能力も持つ、複合能力者だ。
「やっと起きたのね天理ちゃん!少し荷物の整理しておいた方がいいわよ〜」
「不二子さんおはよう!珍しく早いんですね」
「機内は乾燥するから、念入りにケアしないとねぇ。」
寄る年波には勝てないのよ〜
と言う不二子を横目に、洗面所で顔をサラッと洗う天理。
鏡で水を弾くハリのある肌を見ながら、小さく「なるほどねぇ…」と呟く。
「今からでもしっかりケアしておけば、将来大人になったときに苦労しなくて済むわよ!」
天理の呟きが聞こえたのか、不二子が少し強めに言う。
「(大人になったとき、ねえ…)」
今度は聞かれたくなかったのか、口に出さずに心の中で思うだけに留めた。
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