00 「もうすぐだよ!」 時空の流れの中でカノンの声が反響して消える。 今、私とカノンは過去を救うため、過去に向かっていた。ざっと80年前になる。私たちの曾祖父曾祖母が、ちょうど私たちと同い年くらいの時代に行くということだ。 「珀祢ちゃんはひいおばあちゃんに会った事はあるの?」 「小さい頃になら…もうあんまり覚えてないの」 「そっか…」 「でも、」 私はひいおばあ様本人から、おばあ様やお母さんからも彼女…風間天袮さんの話を聞かされてしってる。学生の頃はかの有名な円堂守さんたちと様々な戦いをくぐり抜け、また彼女自身も成長したのだ、と。(そして円堂守さんの曾孫にあたるのがカノンなのだけど、やはり守さんに似てると思う) 「私、元の髪色は違うんだけど、天袮さんに憧れて、同じ色にしたんだ」 「そっか!じゃあ本人に会えるのが楽しみだね!……あっ」 そんな他愛もない話をしていると、私たちの目的の時代が見えてきたらしくカノンが一度止まった。インカムを使い場所を確認すると、「あそこが80年前だよ!」と指差して彼はいった。とうとうやってきたんだ、あの時代に−− 「よし、それじゃ行くよ!」 「うん!」 わくわくして、私はカノンの手をぎゅっと握りしめた。それに照れ臭そうに笑うカノン。いよいよ80年前の時代に足を踏み入れようとした時、時空の流れの中でありもしないはずの突風がまきおこり、私とカノンが離されてしまう。 「カノン!!」 「珀祢ちゃん!!」 あんなにしっかり握っていたのにやすやすと離れてしまった。そのまま私は、目的の80年前よりずっと昔の方へ流されていき、そのまま気を失ってしまった。 [mokuji] [しおりを挟む] 【clegateau】 |