幸運少女と不運委員長
学園の不運な生徒が集まるといわれる保健委員会は、別名不運委員会と呼ばれていた。
さらにいえばその委員会の委員長である善法寺伊作は、誰もが嫌やがる保健委員を六年間務めてきたせいなのか、元からの素質なのか、かなりの不運の持ち主だ。故に彼は不運委員長とも呼ばれている。
「伊作兄ー!」
「伊織、遅かったね」
保健室で包帯を作っていた伊作の元へ、六年生の忍たまが籠を背負ってやってきた。茶色の髪は伊作を思わせるこの忍たま、名を伊織というらしい。
伊織が背負っていた籠を床に置くと、その弾みで花が少しだけこぼれ落ちた。山ほどある草花に伊作は目を輝かせる。
「うわあ、これはなかなか手に入らない珍しい薬草だよ!」
「ふらーっと行ったら見つけたんだよね。これ珍しいって伊作兄から聞いてから、いっぱい持っていったら喜ぶかなって!」
「伊織ありがとう〜!!」
涙を浮かべながら伊作は伊織に抱き着いた。全くもう、と言いながら伊作を撫でる伊織。どちらが上なのか全く分からないが、この二人双子である。
伊織が伊作を「伊作兄」と呼んだのは、伊作が双子の兄だからだ。
不運な伊作だが、妹の伊織は真逆の幸運体質で、今日のようにたまたま良いものを見つけたなど日常茶飯事だ。
「相変わらず幸運体質だな伊織は」
「留三郎!」
たまたま保健室前を通り掛かった、伊作と同室の食満留三郎が中に入ってくる。彼も彼で、不運な伊作に巻き込まれるという巻き込まれ不運の持ち主だ。
「本当、伊織の幸運を僕に分けてほしいよ…」
「母親の腹の中で、伊織に運全部とられちまったんじゃないか?」
「そんな〜!」
「ちょ、伊作兄本気にしないでよ!」
ちなみに、幸運体質の伊織が伊作や食満と一緒にいると伊作の不運な発動しないため、この三人は入学当初からよく一緒にいた。
「僕が伊織と双子じゃなくて、伊織を嫁にもらえてたらきっと平穏な家庭が築けていたんだろうな……」
「なんて話を持ち出すんだお前は」
「ある意味で、僕は伊織無しじゃ生きていけないよ…」
「もう、伊作兄が幸運体質の嫁さんとるまで私が面倒みるから泣かないでよー」
伊作を慰める伊織を見て、尚更どっちが上なのか分からなくなる食満だった。
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