幸運少女と体育委員会
「いけいけどんどーん!」
「待ってよ小平太〜!!」
学園内を物凄いスピードで走っていく小平太を、紙を挟んだバインダーと筆を手に必死に追いかける伊織。
特別に委員会無所属扱いとなった伊織は、特定の委員会に所属しないかわりに様々な委員会の手伝いをする事となっている。食満が委員長を務める用具委員会にはごくまれに手伝いに来るが、力仕事が主なので中々来る事がなかった。
そして今日は体育委員会の手伝いをしているようだ。
「どこまで行くのー!」
「もうすぐだー!!」
力仕事は苦手な伊織だが、女子の中では体力があるほうなのでよく体育委員会には手伝いに来る。
「ここまでだ!手伝ってくれてありがとうな伊織!」
「うん、まあさすがに私も疲れちゃったけどね…あはは」
小平太に手伝ってほしいと声をかけられた場所まで戻り、紙に線をひいて伊織は小平太に帰す。
「私だけだと、紙に道順書くの忘れて走ってしまうからな!伊織の手伝い無しでは成し遂げられなかった!」
「まあたしかに小平太一人では無理な仕事だったね」
小平太が伊織に頼んだのは、体育委員の自主トレで走るコースの地図作りだった。学園の敷地内だけに限られた時のためにコースを考えたが、1周では全然自主トレにならないと思い付いた道のりがかなり複雑だったので、地図にしたいとのこと。
小平太が道のりを走り歩きながら地図を作るなど器用なことはできないため、伊織に地図を作る役目が回ってきたのだ。
「お礼に、今度の休みに伊織の好きな団子屋に行こう!」
「本当!?」
「もちろんだ!」
「やったー!小平太大好き〜!」
「おっとっと、私も伊織が大好きだぞ〜!」
昔からよくじゃれあう二人は友達というよりは、男女関係ない兄弟のような感じだった。だから普通にスキンシップするのだが、もちろん誤解を生むことは多々ある。そのたびに伊織は「恋の好きではない」と否定した。(小平太も否定はするものの、「伊織が私の嫁だったら毎日楽しそうだな!」とさらに誤解をうけるような発言をするためまだまだ怪しむ人が減ることはない)
「…ふむ」
そしてここにも。
二人を怪しむ目で見る人はいた。
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