03


「聞いてよ伏木蔵!綾部ったら、酷いでしょ!」
「綾部先輩らしいですね〜」


別の日。
ヒロインの名前は保健室で薬の調合をしながら、同じく本日当番の伏木蔵に先日の綾部の件を愚痴っていた。

伏木蔵は一年生ながら落ち着いた性格なので、ヒロインの名前の愚痴を聞いてくれるし、さらりと受け流す。

ヒロインの名前は先日の落とし穴の件と言い、綾部への怒りが収まらない様子だった。薬草を規定の量合わせて、ゴリゴリと潰して粉末にしていく。
…気づけばヒロインの名前の周りには、薬の入った茶筒が大量に置かれていた。


「2人とも、お疲れ様!」
「あ、善法寺伊作先輩!」
「伊作せんぱい!」


そこへ保健委員長の伊作が現れる。今日は当番じゃなかったはずだが、様子を見にきてくれたのだろうか。
ふとヒロインの名前の周りの茶筒を見て、流石の伊作もギョッと驚く。


「な、なんだか今日は薬作りが捗ったみたいだね、?」
「あ!気づいたらこんなに…!ごめんなさい、最近の愚痴を伏木蔵に聞いてもらいながら手を動かしていたら、大量生産しちゃってました…!」


ヒロインの名前は無意識にやっていたらしく、伊作の指摘が入るまで気づかなかったらしい。
幸いヒロインの名前が作っていた薬は使用頻度も高いので、長期間の保管で劣化という事態にはならなさそうだ。


「そうだヒロインの名前、気晴らしにお団子屋さんへ行っておいでよ!」
「お団子ですか?でも当番が…」
「僕たちの分もお土産として持って帰ってきてくれると嬉しいな!そう、買い出しだよ買い出し!」
「あ、あぁなるほど!」


手のひらの上で拳をポンと跳ねさせる。
伊作はヒロインの名前に、おやつの調達と称して小休憩してこいと提案をしてくれたのだ。
ヒロインの名前は調合していた薬をひとまず片付け、着替えるためにそのまま保健室を後にしようとする。
ふと振り返り伊作を見ると目がって、ウインクが返ってきた。

















「はぁ〜なんてデキる上司なんだ…さすが伊作せんぱい、気もきくし包容力もあって、素敵…」


煎茶を飲み、うっとりと息を吐いてからそう呟くヒロインの名前がお団子屋さんにあった。
団子の持ち帰りもするが、久しぶりにあんみつが食べたいと思い注文していた。
黒蜜ときな粉が甘くて美味しい。
持ち帰り用も買ったヒロインの名前にサービスと、添えられたミニお団子一串を口へ運ぶ。


「ん〜、お団子もおいひい…しあわせ…」
「あ!風間ヒロインの名前せんぱ〜い!」
「あんみつの匂いだ〜!!」


そこへ、聞き慣れた声が聞こえる。
声の方向を見ると、そこには乱きりしんがいた。放課後どこかへ出掛けていたらしい。


「乱太郎、きり丸、しんべヱ!」
「あれ?今日ヒロインの名前先輩が保健委員の当番じゃなかったでしたっけ?」
「そうだよ!でもね〜」


保健室であったことを3人に話す。
伊作のナイスアシストに、3人も感心していた。


「ところで、なんの愚痴だったんスか?」
「あ〜あの…同じ四年生の綾部がね意地悪でね…」

先日の落とし穴の件と実習の件を3人に話す。

「えー!ヒロインの名前先輩こんなに可愛いのに!」
「今日の着物も、すごく素敵です!金平糖みたい〜」
「しんべヱよだれ!でもほんと、すごく似合ってて可愛いじゃないですか!」

「ほ、本当に…?」


実習の時に来た、金平糖のような可愛らしい着物を着てきたヒロインの名前に、3人は本心から純粋に褒めてくれる。それがむず痒いようで、でも嬉しくて、ヒロインの名前は綾部に怒っていたことなんてどうでも良くなった。


「えへへ…ありがとう!
そうだ、3人もお団子食べて行かない?今出来立てあるみたい、少しご馳走するよ!」
「わーい!やったー!お団子っお団子!!」


しんべヱがスキップしながらお団子屋さんの中へ入っていく。きり丸は「ヒロインの名前先輩に迷惑かけるなよ!」とヒロインの名前の財布の心配をしてくれた。
乱太郎はそんな2人の様子を見ながら、ヒロインの名前に改めて声をかける。


「綾部先輩の意図はわからないけど、でもヒロインの名前先輩が可愛いらしいっていうのは保健委員のみんなも言ってますから!自信持ってくださいね!」


にこっと笑って、乱太郎もお団子屋さんの中へ駆け出す。

外の席に残されたヒロインの名前は、目をパチクリさせながら考えていた。


「保健委員のみんなも…?それって伊作せんぱいも、なのかな?
…だったら嬉しいな、ふふっ」


お皿に残っていたあんみつをぱくりと食べる。
先程1人で食べた時よりも、ずっと甘く美味しく感じた。


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