ただ一人


中の玩具の動きが止まったのは、何度目かの入り口を通ったあとだった。
箱の外の会話を知ることはできないが、止まる度に誰かが会話している様子から、きっとそうだと考える。
だがこちらは息も絶え絶えで、正直声が漏れていなかったとは思えない。
声が漏れないように必死なのに、容赦なく中は暴れている。
そんな状況でようやく訪れた、一時的に動きが止まる時間。
同時に箱が地面に置かれる感覚。
心の臓が激しく鼓動を刻み、息は整えようと必死で吸い込み、吐いている。
耳の横に伝う汗がとても気になる、気持ち悪い。
気持ち良さと達することができない辛さと、声を抑えなければいけないと言う状況から、自然と流れる涙がより思考をぼやかす。
頭痛などの症状は今の所ないが、健康体だとしてもこの体勢でこれ以上動かないのは、歩行などに支障をきたす可能性がある。
ようやく止まったのだから、このタイミングで出来るだけこの高ぶった体を鎮めようと試みる。
静かにゆっくり深呼吸をして、体の昂りが少しでも治れば、楽になるとわかるから。

しかし、外からの会話や物音が聞こえなくなったのを感じた。
ただ箱が降ろされたわけではない、のだろうか。
もしかして、と思った時には箱の上蓋は開け放たれ、その音でようやく理解した。


「おおっ!」


聞きなれない声がした。
リモとは違う、男性の声。
明るく、元気な声だが、初めてのことに緊張が走る。



「お前がマリンか!待ちわびたぞ!」


目隠しされた私には、声でしかその居場所を判断できないが、その男は私の腕をぐいっと上に引き上げた。
立て、と言うことなのだろう。
ゆっくりと立ち上がったが、足がガクガクと痙攣する。
目隠しされた状態で、しかも腕は縛られていて、中には玩具が入っている。
そのまま立つのはなかなか骨が折れる。
下着の中でどろっとしたものが溢れた感覚を覚えた。


「ファンクフリード、そいつを持ってこい!」


別の名前、そしてそれに返事した明らかに動物の声と、腰回りから何かに掴まれ、持ち上げられる身体。
混乱した中で、急に身体に触れられて、自分の体の敏感さを呪った。


「んんっ!!」


身体に力が入り、入っている物が中が締まったせいで出かけている。
余計に苦しい。
私はそのよくわからない動物、多分象か何かだとは思うが、なにやら布団のような場所に降ろされた。
とても気持ちの良いベットで、疲れて眠ってしまいそうだった。
もちろん、寝てはいけないことぐらいわかってはいるが、この柔らかさは今の状態ではとても甘美な毒だった。


「ん? なんだこりゃ」


その男は、何かガチャガチャと音を立てた物を持っているようだった。
目隠しをされているので何も見えなし、ボールギャグのせいで話すこともままならないが、この男が多分、スパンダムなのだろう。
この私を運んだ象は彼のペットか、何かなのだろうか。
であれば、ここは目的地ということになる。
初めての客が、目の前にいるというだけで身体がこわばった。


「いいものがたくさんあるな!どうせ何回も会えるんだ、せっかくだから今日は遊ぼうか!マリン?」


その男は、随分と楽しげな声で、私の名前を呼んだ。
不意に、仰向けにされ、足を開かされた。
リモに言われた通りのことを、私がやらなければ、私が従わなければ、私が彼を満足させなければ、何が起きるかわからない。
殺されることも、もちろん考えなければならない。


「おー、楽しそうなことしてるな?」

「んんっ!」


私の下着を撫でながら、その男は笑った。
少しの刺激がもどかしく、気持ちが良い。
不意に閉じてしまいそうになるが、我慢する。
散々中で弄ばれた結果、下着は下着としての意味をなしていなかった。


「ここに来るまで、ずっとそうやってたのか? いいねぇ…」

「ん、ん、んっ!…ぁ」

「あー、すごいな、このおもちゃの数…見たことないものまであるじゃねぇか。」


おもちゃの数?
私の入っていた箱にはそんなものはなかった。
つまり、別で用意させていたのか。


「まぁ、まずはここまで慣らしてくれたローターには感謝しないとなぁ??」

「んんんんん!!っ、ぁ、ぁ!!」


その男は、私の中にあるローターを電源を入れたらしい。
体の入り口にあったローターは音を立てて唸りだした。
男はそれを元あった奥にぐっと押しやり、小さな芽に手を出す。
ボールギャグと布で収まらない唾液が、口から首へ滴る。


「ん!!、んぁあっ!!」


今まで静まっていた体は、すぐさま熱を帯びた。
激しく振動する中がとても気持ちいい。
けれど、いきなりの強い刺激で体は苦痛にも感じる。
小さな芽を摘み、激しく揺らすその動きで、まだ身体が感じていない刺激に反応し出した。


「んぁ、っは、ぁ、…ああっ!」

「あぁ、かわいそうになぁ? こんなに濡れちまって。」

「っ…んんんんん!!!」


強く摘まれ、痛みが走る。
痛い、痛い、声はもちろん、やめてほしいとも言えない。
激しい振動は止まらない、自分の身体が思うように動かない、痛いほどの刺激を与えられやめてほしいとも言えない。
辛いこの状況だからか。
涙がまた出てきて、目隠しされた黒い布を濡らした。
身体が敏感に反応しているところで、不意に男はローターの動きを止めた。


「はぁっ、…、ん、ふ、はあ…」

「せっかくだから、もう少しこのローターで遊んでてくれよ。少し部下に呼ばれているんでね。」


そう言いながら、下着を脱がせてきた。
脱がせようとしたことがわかったので、その動きに従い腰を上げる。
笑った声が聞こえて、恥ずかしかった。
けれど、今更だと思い出し、それに対して何も言わないし、顔を少し背ける程度にしておく。
少し下に降ろされた下着は膝あたりで留まった。
相変わらず、目隠しとボールギャグは外すことなく、何かが下にあてがわれた。


「もう一個入れてみるか、余裕だろう?お前なら。」


楽しそうな声で何をするのか察した。
すぐにぬぷりと中に異物が入る。
さっきまで入っていたローターと同じようなものが、もう一つ入ってきた。


「んんっ!!」


その二つ目の何かは難なく中に入れられた。
二つの何かがぶつかった音が中から聞こえた気がした。
カツンとぶつかる音と振動に、無意識に腰が揺れる。


「はは! これなら、もう一つ入るよな?」

「んぁああぁ!!」


グググと指で広げられて、中を見られていた。
男の鼻息が当たり、足が震える。
広げられたせいで、ヒクヒクと中が動いているのを感じた。
それを見られていることに、また恥ずかしさが増す。


「ああ、待ち遠しかったのか?すぐに入れてやるよ」


勝手な解釈をした男は、容赦なく三つ目のローターを取り出した。
無慈悲にも、先ほどより激しく中に埋め込んできた。


「あ、あああああああああっ!!!!」


激しく奥に当たり、腰と下腹部が震えた。
目を見開くが、何も見えない。
けれど、明らかに奥に当たった衝撃で、抑えられない声が大きくその場に響き渡った。
口からこぼれた唾液が首から鎖骨まで濡らし、涙は目隠しを重たく湿らせている。
意識が朦朧として、一瞬で海老反りになった体は、しばらくそのまま硬直して動くことができなかった。



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