Act-01 Amazing grace
Amazing grace how sweet the sound
That saved a wretch like me.
I once was lost but now am found,
Was blind but now I see.


Amazing Graceは赦しの讃美歌だという。
作曲者のジョン・ニュートンは奴隷貿易で巨万の富を得た人だという。
そんな人が作った曲とはおもえない。

音程を掛けて、テンポを変えて
私は<リサイタル>の時に必ず最後にこの曲を歌う。
私は、この声で沢山の人を殺してきた………
神の恵みなんて信じない。
私を救い、導てくれたのは神じゃない。


Twas grace that taught my heart to fear,
And grace my fears relieved,
How precious did that grace appear,
The hour I first believed.




それでも



何時か…… 彼等が赦される日がくる時を願って歌う。



Through many dangers, toils and snares
I have already come.
Tis grace hath brought me safe thus far,
And grace will lead me home.



私の仕事は<リサイタル>の最後に、数曲アカペラで歌う事。
姿を見せない歌媛ディーヴァとして。
アカペラなので曲の指定はない。
クラシックからジャズ、讃美歌まで、私が唄う分には何を歌おうと規約がない。

組織の人たちは讃美歌なんてと笑ってたけど、私はこの声で裏切り者を探すのが仕事。
何を歌おうと、決して笑わずに聴いてくれたのは2人だけ。


The Lord has promised good to me,
His Word my hope secures;
He will my shield and portion be
As long as life endures.


一人は
銀の長髪で背の高い、硝煙の匂いがする深緑の瞳を持つジン兄。
一人は、
赤茶の髪を肩口で切りそろえられた、私と同じ瞳の色を持つ、志保お姉ちゃま

1年の大半を眠らされて育つ私。
<リサイタル>の時だけ起きる事が許される私の躰は、中々成長しない。


見かけは3歳〜4歳の幼児。
本来の年齢は13歳

組織の粋を極めた睡眠学習機能で、頭の中には沢山の言語が入ってる。
ジンがいうには通訳いらずで世界の主要都市に行けるらしい。
起きてる時間がとても短いにも関わらず、11歳の誕生日に、世界有数の音楽院の声楽科の卒業資格を取っていた。

お姉ちゃまは13で大学院を卒業して博士号を取って、薬学の特許も幾つかもってる。
だから音楽院の卒業資格しかない私より、IQが高い。


Yes,when this heart and flesh shall fail,
And mortal life shall cease,
I shall possess within the vail,
A life of joy and peace.


でもお姉ちゃまはいう。


「彩華の声を聴くと落ち着くの。 彩華は私の歌媛なんだから、いつも笑ってて頂戴。何年掛かろうと、私達が彩華の躰を治してあげるわ。」
「私もお姉ちゃまが大好き。ずーっと、ずーっと、彩華の傍に居てね?」
「傍にいるわ。 さーやは私のたった一人の妹よ。 何時か、私が貴女の躰を必ず治してみせるから―…」


The earth shall soon dissolve like snow,
The sun forbear to shine;
But God, Who called me here below,
Will be forever mine.


<リサイタル>の時、
研究が途中であった時もスケジュールのやりくりができた時は
私のスタッフとして必ず来てくれたお姉ちゃまが好き。
お姉ちゃまが研究で来れなかったのは…… 片手で数えられる位。

組織の狙撃手としていつも世界を飛び回っているジン兄が、<リサイタル>の時だけは、パートナーのウォッカを引き連れてそばにいてくれる。
皆、ジン兄を恐れている

でも私はジン兄が好き……


大好きなお姉ちゃま…………
大好きなジン兄…………




何処にいるの………?


When we've been there ten thousand years,
Bright shining as the sun,
We've no less days to sing God's praise
Than when we'd first begun.
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