Act-02 不良退治
何時もの駐車場に車をとめた不良の一人が赤井の車に目を止めてガンっと蹴り上げる。
「シボレーか。 こんなのに乗ってるのにロクなヤツは居ねえよな」
「ああ 3年前の手入れン時か」
「あいつ アカなんとかって日本人だったけど、日本に帰ったとかって親父が雇った探偵が言ってきやがってさ、出てきたらナイフで腹をひとえぐりしてやろうって思ってたんだけどな」
「まぁ 居ねぇから、俺ら遊べるんだし?」
「だよなぁ? 今日の戦利品は可愛い人形だ」
「おいおい。こんなガキを相手にすンのか?」
「まさか! レンタルだよ」
ジェイソンはマリファナ煙草をふかしてニヤリと笑う。
「ムショの中でな、可愛い女の子が好きっていうロリコンヒヒジジイがいて、初物なら高値で一晩幾らで買ってくれるってやつの連絡先を聞いた。男を知らなかったら割増料金ってジジイ」
「けど、それもこの餓鬼が男を知らないのが前提だろ? なんなら調べて、」
「バカ云え! 下手に傷つけたら売り物になんねぇだろ? だから、まずは好きモノを集めて一晩相手で一番高値を付けた奴に貸すんだよ。」
「はぁ…… ん」
「もし、未使用だったら上乗せして貰う。ずっと遊びたいならそれなりの高額オークションで買わせるんだ。 金を払わなかったら警察に報告する。ってな」
「それいいなぁ? 帰ってきたら、俺らも遊んでいいか?」
「でもって、俺のセカンドハウスに監禁しときゃいいだろ?」
「ちょっと! アタシがいるのに餓鬼を抱くっての!?」
ジェイソンからマリファナを取って深々と吸いこんだ少女の顔を残す娘が云う
「あ? 遊びだよ? 女はお前だけで十分だ。 だが、商売道具は中身を知っておかないとレンタルできないからな」
「どーだかね! この浮気モン」
「”ドール”の一人にするってか」
「今は躰が餓鬼だから薬を打つわけにはいかねぇけど2年もすりゃあ稼ぎ頭になりそうだ」
「金髪に金色の瞳ってのもいいな」
赤井は気配を殺してたむろっている少年たちに近づく。
煙草を吸い、ビールの回し飲みをしている少年と少女。
煙草の匂いからしてマリファナも入っているらしい。
車の中に向かって煙を吐き出せば、中から ケホケホと、小さな咳が漏れ聞こえた。
「あーらら、ジェイソン、駄目だよ、商品に煙かけちゃ。 煙草臭くなるからさー」
そういいつつも遊ぶように煙を車の中に入れる不良共。
「ジェイソン坊や。 2年ほどの少年院じゃものたりなくて懲りてないらしいな?」
ポキポキと、業と指の骨を鳴らしながら近寄る赤井。
「「だっ 誰!! げ!」」
口角を持ち上げて笑う赤井の言葉に固まる不良少年たち。
「赤井! テメェ 生きてたのか?」
アーミーナイフを取り出すジェイソン。
「おいおい ご挨拶だな? 暫くアメリカに居なかったのは事実だが、折角戻ってきてやったんだ。 ボウヤたちは挨拶も出来ないのか?」
少年たちの持つビールをフラッグの立ててあるバイクに向かって蹴り上げればフラッグが倒れる
「てめぇ!」
「その香りは麻薬だな? ムショに逆戻り それから―… 」
ドアの前に座り込む少年を軽々と蹴倒してドアを開けると、車内に入り込んだ煙が外に出て、ロープで縛られている少女がバックシートに倒れているのを確認する。
麻薬成分の煙で気分を悪くしたらしく、吐いたような匂い。
そして、背中と左腕にナイフで傷つけたような大きな切り傷があり、鮮血が流れている。
傷の割には出血は少ない…… と、赤井は判断して、ほっと息を付く。
「児童誘拐に傷害罪に麻薬吸引、それからマンションに何人か監禁してるって?」
赤井は平然と云いながら車内で倒れてる少女を見て車内から救い出す。
「怪我をしてるな? 可哀想に。怖かっただろう? 私は、FBI捜査官だから安心していい。 ―…… もう大丈夫だ」
優しく云う赤井の背後に鉄パイプを振り上げるジェイソン。
「おおっと!」
少女を抱いた儘、身軽に躰を動かせばパイプは先ほど蹴倒した少年の躰の上に当たって鈍い音を立てる。
「仲間割れか? 可哀想に 腕を折ったな」
赤井は片腕で子供を抱きかかえて笑う
「怖いだろうが、ちょっとの間我慢するんだ。 今、警察も来るからな? いいか? 腕が痛むだろうが、確りと私にしがみついて顔を伏せてろ。」
「―……」
「そんな顔をするな。私が守ってやる。いい子だから、顔を伏せてろ。」
赤井は怯える少女に優しく笑いかける。
「餓鬼抱えて、ほざくな!」
化粧の濃い不良娘がナイフを翳す。
「危ないなあ。 危険物はそれなりに使えよ?」
赤井は空いた片手でナイフを叩き落とす。
「女の子相手に悪いが、逃げ無い用に、肩と脚の関節、外させて貰う」
「っ!?」
グキ、と音がなる
片手で子供を抱えて居るにもかかわらず、身軽な赤井は、一撃必殺で、次々に倒す。
「さぁて、仕上げはお前だけだな?」
楽しそうに笑う赤井。
「今回は俺が証人だ。麻薬も含めて5〜6年は入ってもらうぞ」
「ザけんな! お前とサシで殺ってやるよ!」
どこから手にしたのか背中から銃を取り出す。
「おいおい。勘弁してくれ。 本物迄使う気か?」
赤井は溜息を付く。
ふと、目に入ったのはビルと駐車場の隙間。
「いいか? 直ぐに終わらせて、手当してやるから、あの隙間に入ってるんだ。カタを付けて迎えにいく。 わかるか?」
「―……」
ガタガタと細かく震えている少女を地面に立たせる。
「大丈夫だ。 私は、こんな悪餓鬼には負けない。それにホラ 警察もすぐそこに来ている」
赤井は遠くから光るネオンのようなランプを指で示す
こくんと、小さく頷く少女。
「よし。 走れ!」
赤井の言葉にパタパタと走り出す少女。
「させるかよっ!」
ジェイソンがナイフを少女に向かって投げるが、赤井が弾きかえす。
「傷害未遂追加、だな」
「くっそぉ!」
銃を構えるジェイソン。
「震えてるじゃないか? そんなんで撃てるのか? ん? 」
「ざけんな!」
「撃ってみろ? ホラ? どうした? 俺は丁度運動不足でな。幾らでも相手してやるぞ」
赤井はゆっくりと足を前に踏み出す。
「ぁ… ―…… ああああ!! くそぉおおおおお!!!」
ジェイソンの手が震える。
(直ぐ撃てないなら まだ更生させれるかも知れない。 それなら)
赤井はガシッとその手を蹴り上げて落ちて来た銃をジェイソンよりも早く取り上げると、セーフティを解除して銃を向ける。
「やれやれ セーフティ解除もせずに撃つ気だったのか? 暴発するぞ?」
「っ」
「銃ってのはな!」
赤井がジェイソンの眉間を狙って睨み付ければ、がくがくと震えだす
「こう構えるんだ! 良く見て置け!」
本気で殺気を向けて銃を構えれば、ジェイソンはズボンを濡らす。
「分かったか! これ位できなくてえらそうに銃を振り回すな!」
くるくるっと銃を回してベルトに挟む。
「これは証拠品で没収させて貰うぞ」
赤井はジェイソンの傍に近寄ると、容赦なく腕をひねりあげて、地面にたたき落した。
「手間かけさせやがって」
「ご苦労様、赤井さん。助かりました」
「見てるなら手伝え! お前らの仕事だろうが?」
「あの殺気には勝てませんよ。」
「あの程度の殺気でか? 警察官の癖に情けないぞ」
「すいません。 でも、ホラ、この坊や、赤井さんの殺気で粗相しちゃってるし。これじゃあパトカーにのせられませんよ」
「悪い。 ここ数日運動不足でな。そこまで考えてなかった。ゴミ袋を腰から下に巻き付けるしか手がないかもな」
「全く。 しゃーねーな。 誰か! ファミレスまで走ってマスターに頼んでゴミ袋を調達してこい。」
「はい!」
笑いながら掛けだした捜査員をみて赤井は苦笑してポリポリと頭をかいた。
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