present



01


うちの学校には、女神様がおるんよ。

それはクラスも、学年も、学校全体も、みんなが認めとることやろな。
高校生活で、そんないわゆる“女神様”と3年連続で同じクラスになれた俺は、たぶんめっちゃ運ええんやろなぁって思う。



朝、教室に入ってきてみんなに笑顔ふりまくその女神様を見て、俺は心ん中で、つい拝んでまう。



『信介、おはようさん』

「おはよう。」


玉を転がすような声が、ダイレクトに脳に響いてきた。
俺の名前を呼んだその唇は、今日もぷっくりしてて、愛らしいなぁ。


『今日も朝練してきたん?』

「ああ、いつも通りや。」

『そっかそっか。ほな、おつかれさんの飴ちゃん、あげるわ。』


そう言うて、苺の絵が描いてある飴を差し出された。
「ありがとう」って受け取ったら、その白くてちっちゃい手に、自分の手がちょっと触れてもうた。


ほんの一瞬のことやのに、触れたとこからジワっと熱が広がって、それが体ん中にゆっくり染みこんでいくような気がした。


『明日も持ってたら、あげるで』


そうニコッと笑うて、女神様は席立って友達の輪に入っていった。
俺は渡された飴をじっと見つめる。

飴の賞味期限って、大体1年くらいやったっけ?
枕元に飾っとくには、ちょっと扱いが雑すぎる気がするわ。
せやな、家の神棚にでも飾っとこか…。



「信介、その飴くれや」

「大耳……なんの冗談やねん」


クスクス笑いながら、冗談や言うて俺の前に座る大耳。


「信介と女神さん、めっちゃ仲ええなあ、羨ましいわ」

「そんなことあらへんて。普通や…ただのクラスメイトや」

「いや、せやから、女神さんが男を下の名前で呼ぶん、信介だけやで」

「……まあ、そうやな」


俺が女神様に下の名前で呼ばれ始めたんは、2年の夏の話や。
話すと長なるから、今は回想せえへんけど、大耳の言う通り…

女神様は俺のことだけを下の名前で呼んでくれてるんや。

それを知ったんは、大耳や尾白に言われてからやった。

あの時は嬉しすぎて、真顔のまま涙が出そうになったわ。


「…せやから、その飴ちょうだい」

「冗談ちゃうんか?」


俺はズボンのポケットから出したハンカチで飴を大事に包んだ。
女神様のポケットに入っとったもんやから、飴の包装紙から全部が貴重に思える。
外の汚い空気に晒すんはもったいないわ。

帰ったら真っ先に神棚に飾ろ思てる。





え、関西弁むず(小声)
基本的には北くん視線のストーリーです!







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