妬むことが多いなあ


 昔のアイドル人生は、思いの外早く終わってしまった。

 煌びやかな衣装と聞いたら忘れられなくなる音楽。眩いほど綺麗なライトで照らされたステージ。何より、ファンの笑顔と喜んだ声。私の大好きな世界だった。

 ステージに夢と希望を置いて消えた私は、「消えたアイドル」なんて言葉でお茶の間を騒がせた。そんなテレビニュースや週刊誌を横目に私は次なる人生のスタートラインに立っていた。いや、立たされていた。アイドルを辞めるとなった以上、もうこの世界には一切関わりたくないなんて我侭を言っていたのだが、そんな我侭は誰も聞いてくれなかった。気づいたら通っていた学校の新設されたプロデュース科に飛ばされ、次はアイドルをプロデュースする立場になれと指示された。逃げようと思えば逃げられたのに、それでも逃げなかったのは私の性格が故なのかそれとも未練が引き止めたのか今はまだ分からない。けれど、このスタートラインに立ってしまった以上ゴールに向けて走らなければならないのだ。

 背中を蹴られるようにスタートした私のプロデューサー人生。私を待ち構えていたのは、難癖のあるアイドルやアイドルの卵たち。私が大好きだった世界に次に立つのは彼らだ。そんな彼らを妬ましく思いながらプロデュースしなければならないなんて皮肉すぎる。







「なまえ」

 振り向くとステージ衣装に着替えた泉が立っていた。ステージ裏、もう直ぐKnightsのライブが始まる。

「準備万端だね。」
「当たり前でしょ、ちゃんと見ててよね。」
「わかってるよ。」

 ステージに走り出す彼らを見て、これから彼らがどんなステージを魅せてくれるのかという期待と、私が立ちたいと思う悔しさが心を渦巻く。これが私の初めてのプロデュースしたライブ。歓声とともに少しだけ涙が流れた。
  

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