好奇心もたまには幸せをもたらす01

隠居している伊邪那美さまには溺愛する侍女がいるらしい。そしてその人は鬼灯さまのお気に入りで、とてつもなく面倒くさい性格をしているのだという。
とは言っても、その姿を見たことも、鬼灯さまが会っているところも見たことがないのだけど。同僚に聞いても首を振るばかり。俺だって伊邪那美さまに直接聞かなければ知らなかった。
たいして興味はなかったが、相棒は違うらしい。瞳を煌めかせて鬼灯さまに尋ねると言い出した。
あの方は無遠慮にプライベートに踏み込まれるのを嫌っている。こんなことを聞いたなら、金棒で何回叩かれることかわかったもんじゃない。だけど茄子は言い出したら聞かないんだ。
そりゃあ、一人で行かせればいいんだろうけど、長年の仲だ。腹を括ろう。

結果から言うと、鬼灯さまは怒らなかった。それどころか、会わせてくれると言った。
隣で跳んで喜ぶ茄子を放って思わず凝視する。

「どうしました?唐瓜さん」
「い、いや...怒らないんだなあって...」
「ああ、いい機会です。そろそろ外に出そうと思っていたので」