嫉妬の炎は熱い04


「どの面さげて来たのか...言い訳なら聞いてやろうぞ」
「言い訳もクソもありません。聞いているのでしょう。それが事実です」
「ほう」

二人きりの冷戦が始まったところで、止めに入ったのはまさかの天鼠さまだった。

「お止めくださいまし、伊邪那美さま。鬼灯さまは何も悪うございませぬ」
「なんじゃ、庇うのか。天鼠よ」
「庇うも何も、あたくしはただ泣いて帰り、理由を聞かれた伊邪那美さまにただ鬼灯さまがあたくしをよそに知らぬ女性と仲睦まじくお話をしていらしたからと答えただけにございましょう」
「その通り。そして天鼠さんが一人暴走し勝手に帰ったというわけです」

まさしく火に油。

「だから鬼灯さまは悪くないのです。たとえあたくしを口説いておきながら他の女性に手を出そうとも、何の関係性も持たないあたくしは口出しする権限など持ち合わせていないのです」
「天鼠...」
「全く、その面倒くさい性格は直っていないようですね」
「鬼灯...」

結局、いっこうに譲らない両者の戦いは伊邪那美さまのいい加減にしろ、という怒声で幕を降ろしたのである。