嫉妬の炎は熱い03


今回はお香さんと面識のない天鼠さまを紹介するわけでもなく放置した俺たちに比があった。数分のことではあったが。

裏道を進んでいると奇妙な絵面に数回直面した。
気絶している男と、その背中に乗った猫。犯人は一人しか考えられない。
手際よく男の回収の手配をしていく鬼灯さまの後を追いながら茄子に話しかける。

「ヘンゼルとグレーテルみたいだな」
「それ俺も思った。これが鬼灯さまの言ってた足跡なのかなあ」
「笑えない童話だぜ...」
「日本の童話というのは元はそういったものが多いんですよ。現世のものが加筆修正がされているだけで」
「そういえばかちかち山もそうだったっけ」

足跡が導いた場所は伊邪那美さまの御殿だった。帰っていたのかと安堵の息をつくのも束の間、門には鬼の形相で主が立っている。
慌て出す俺たちを尻目に鬼灯さまはため息をついて近付いていった。