【40】傘をさしてくれた君に
あの日、あの土砂降りの雨の中、君をさしてくれた。
何度も道に迷い立ち止まって、打ちひしがれて死にたいと思っても必ず君が救い上げてくれた。
神の領域に踏み入る様な力を持つ君はいつもこんな私を一番に助けてくれる。
「当たり前だ」
「またそうやって人の心を読む」
「遊の声は全て聴こえている。お前は私に愛されているのだから救い上げるのもそばに居るのも当たり前だ」
「ありがとう…トキ…」
トキが私の頬を両手で包み込んで顔を上げさせた。見上げるとトキは溢れるほどの愛で私を見つめてくれた。
「ゴホンっ、邪魔すんで」
「空気が読めぬのだな、平子真子」
「お前も斬魄刀のくせに死神の格好しよって。しかも、男みたいでややこしいわ!中々慣れへんで…」
「真子さん、迎えに来てくれたの?」
「そや。荷物は纏まったんか?」
真子さんとの再会からしばらくして私たちは一緒に暮らすことになった。真子さんがその為に二人には広すぎる位の御屋敷を用意してくれた。
私はと言うと大した荷物はそこまでなくて、着替えと生活用品、そして真子さんにもらったレコードだけだった。
「そんなもんしかないんか?まあ、足りひんかったら買えばまええしな。」
「遊、私は用がない限りは姿を隠す」
「当たり前や。お前の部屋はあらへんからな!」
「心配しなくともお前の世話にはならん」
「二人ともやめて下さい。大人気ない…」
記憶を取り戻してから他のみんなとも会うことが出来て嬉しかった。いきなり五席が隊長格と顔見知りで尚且つ一人とは恋仲、謎の仮面の軍勢とも知り合いって事で少し周りがざわつきはしたもののそこまで大きな問題にはならなかった。
「ねぇ、
時鳥?」
「なんだ?」
「いつまで一緒にいてくれる…?」
「いつまでも…と言いたい所だが、後継者が生まれて継承権が移ればそばを離れなければいけなくなる。だけど、それまではお前は私の姫だ。」
「よかった…。私が子供を産んだら、その子のことを守って欲しい。」
まだ子供なんていつの話になるか分からないけど、私は
時鳥がいてくれたから今の自分がいるし、こうして幸せになれた。私ばかり幸せじゃバチが当たるんじゃないかと思うんだよね。だから、ちゃんと次に繋がっていくことを確認したかった。
「本当にいつもありがとう」
「なにを今更…」
―最大限の感謝を贈りたい。
prev next
back