【39】もうそろそろ
二人でゆっくり話すといいと言うトキの計らいで二人で外に出る事になった。
私の少し前を歩く真子さんを見て本当に生きていて私近くにいるんだなって実感した。真子さんのその背中がすごく懐かしくて、嬉しくてずっと眺めていたかった。
「そんなに見られとったら穴が開きそうや。」
「ご、ごめんなさい!」
「遊、長い事待たせたな」
「そう…ですね」
長かった。そう思えるだけでも幸せだと思った。目の前の真子さんに会うのはもう不可能だと思っていたから、もし生きていると分かっていたらどれだけ時間がかかろうともきっと会える日をいくらでも待つことが出来たんじゃないかな。
いくらそばでこうして歩いていてもまだ幽霊を見ているような感覚は拭えなくて、だけどずっと愛し続けて来た人が目の前にいて、私はまるで初恋の時のように心がときめいている。
「ふっ…何で敬語なんや」
「え⁉ぁ…無意識でし、だった!」
「まぁ、ええけど、何や寂しいな」
「緊張…しちゃって…」
「緊張?」
だって好きな人が目の前にいたら緊張するでしょと言うと真子さんは驚いた後にアホかと目を逸らした。
「後ろに立たんと隣で歩かへんか?」
「…うん」
真子さんの隣に立ったら昔を思い出して鼻の奥がツンとした。泣いたらダメだと思って下を向くと隊長羽織から見える真子さんの手が見えた。すごく触れたい。この手が昔から大好きだった。そう思っていると真子さんが掌を見せてヒラヒラと手を動かしている。
「?」
「手ェ、繋ぎたいんやけど?遊はどうや?」
「私も!私も繋ぎたい!」
「ならはよ繋がんかい」
久しぶりに繋いだ手はあったかくて懐かしくて、本当に大好きだ。真子さんは繋いだ手を握り返してくれて、泣くなやって涙を拭ってくれて初めて自分が泣いている事に気づいた。少し困ったような顔でしゃあないなって言う真子さんの表情も愛おしくて涙がポロポロと止まらなくなってしまった。
「真子さん…っ、会いたかったよ…」
「俺も、ずっと会いたかった…。置いて行って悪かった。待たせて、悪かった…」
「生きててくれてありがとう」
「もうどこにも行かへんから。そばにおるから…ずっと一緒に居てくれるか?」
「‼…はい!」
さっきよりも泣く私を見て微笑んでいた真子さんは少しだけ屈んで私の頬に手を当ててお口チャックって言いながら優しいキスを落とした。
ゆっくりと重なった唇は角度を変え少し離れてはまたくっついた。その度に涙が溢れた。
―僕たちも幸せになろう。
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