【27】誰にも届かない



「さあ、始めようか。護廷十三隊。そして、不出来な破面もどき達。」


ああ、嫌な感じだ。
藍染がしゃべる度に皆の霊圧が怒りで細かく揺れている。


「挑発や!乗るな!!」
「―何を恐れる事が有る?百年前のあの夜に君達は既に死んでいるというのに。」

「ひよ里っ!!!」

「っ!!…ギンちゃんダメッ!!!」


もうあなたには私の声は届かないの…?


ギンちゃんの手によってひよ里ちゃんは真っ二つに斬られてしまった。

遠くの方で聞こえる真子さんのひよ里ちゃんを呼ぶ声で胸が軋む。
真子さんの声色が酷く動揺している。私はあなたの役に立てるかな…。


「鉢玄さん、私も手伝います。」
「…!遊さん…よろしいのですか?」
「お役に立てるのなら…」


居ても立っても居られない様子の私を見かねた京楽隊長が行っておいでと背中を押してくれた。
ひよ里ちゃんを包む鉢玄さんに結界に手を添える。



気づかぬうちに手が震えていた。
一護くんが戻ってきて、全員で立ち向かっているのに…誰の刃も藍染に届いていない。
その様子にこのままでは誰も藍染に敵わないんじゃないかって絶望すら抱きかけている。



「遊さん、集中してください。」
「卯ノ花隊長…申し訳ありません…」


絶望しかけていた時、横目で少しだけ見えた真子さんが笑っていた。
勝機を逃さぬとばかりに、日番谷隊長が動き、そして貫いた…―

わかった…なぜ私が震えているのか…。
良い方向に進んでいくこの状況に何か違和感を感じていたからだ。
状況は何も変わっていない。ずっと藍染の掌の上で動かされていただけだったんだ。


「違う…」
「遊さん…?」



「遂に隊長達が……やってくれたで……!!」


「待って…待って!!まだ終わってなんかいない!!」


誰にも私の声が届かない。

日番谷隊長が刺したのは…雛森副隊長で…
じゃあ、あそこにいるのは…!?みんなが危ない!!


「みんな一体何をしてんだよッ!?」


「イヅル君!射場くん!危ないっ!!」
「遊!!!」


あぁ、今、私斬られたんだ…
イヅルくんも射場君も庇うことも出来ずに怪我を負わせちゃった…

真子さん…私は大丈夫…だから、落ち着い…て…。


―私の声が聞こえますか。

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